経営者やマーケターは、自社の公式サイトやECサイトのコンバージョン率(Conversion Rate)の目標値を持っていると思います。
コンバージョン率の目標値の多くは自社の過去の統計から算出されることが多いですが、他社がどの程度のコンバージョン率なのか把握しておくと参考になることも多いでしょう。
今回は【2020年最新】世界の業界別のコンバージョン率平均についてご紹介いたします。
目次
【2020年最新】世界の業界別のコンバージョン率平均について
世界の業界別のコンバージョン率平均についてアメリカ・マサチューセッツ州ボストン市のネット広告分析会社、WordStream社のデータを元に見ていきましょう。
WordStream社はGoogle、Facebook、Microsoftのパートナー企業になるなど、アメリカの広告業界ではメジャーな存在と言えそうです。
WordStream社の創設者で、チャットボットの技術者でもあるLarry Kim氏が2020年2月に公開した論文「What’s a Good Conversion Rate? (It’s Higher Than You Think)」を参考にします。
参考サイト:https://www.wordstream.com/blog/ws/2014/03/17/what-is-a-good-conversion-rate
タイトルを訳すと「よいコンバージョン率とは何か?(それはあなたが考えるよりもはるかに高い)」になるでしょうか。
コンバージョン率の計算は以下の通りです。
コンバージョン率(%)=(コンバージョン数÷サイト訪問数)×100
なぜ「適切なコンバージョン率の目標値」が重要なのか
コンバージョン率は売上や資料請求などWebサイトやマーケティングのゴールに近い数値のため、多くの企業が最も注力をしているKPIと言えるでしょう。
コンバージョン率の目標値を設定したり、目標を達成するためにサイトの改良に取り組んだりすることは、マーケティング業務の中でも優先度の高い取り組みと言えます。
閲覧者が多く人気のサイトでも、そのサイトが見込み客を購入者に変える力を持っていなければ、「なんのためにサイトを開設しているのかわからない」(*)わけです。
*:Conversion is a key element in your paid search strategy; after all, if you’re not actually turning lookers into buyers at a high rate, what are you advertising for?
一方で闇雲に高いコンバージョン率を目標としてしまうと現状の数値と乖離しすぎて達成が困難になってしまい、担当者の評価やモチベーションが下がってしまうことも考えられるため適切なコンバージョン率の設定が重要です。
Kim氏は、コンバージョン率が低い企業の経営者やマーケターに対し「あなたのCV率を高める取り組み(CRO、Conversion Rate Optimization)に関する知識を全否定する覚悟を持つ必要がある」(*)と指摘しており、「1から出直そう」と叱咤激励しています。
*:Are you ready to find out why everything you thought you know about CRO is wrong?
全業界の平均コンバージョン率について
上記は全業界のコンバージョン率をグラフにしたものとなります。
自社のコンバージョン率が1%にも届いていないのが低すぎると感じている担当者がいるかもしれませんが、左端の2つが1%未満のグラフとなり、数としては一番多い結果として表れています。
これまで蓄積した各社のコンバージョン率データから、次のような数値を紹介しています。
A:下位25%の企業のコンバージョン率は1%未満。
B:中央値は2.35%。
C:上位25%の企業の平均コンバージョン率は5.31%で「驚異的」レベル。
D:上位10%の企業の平均コンバージョン率は11.45%で「ユニコーン」レベル。
上記の数値は全業界の平均値になるため、最初の参考目標として自社と比較してみましょう。
もし自社のコンバージョン率がAの1%未満に当てはまるのであれば、相当大掛かりな改修やコンバージョン対策が必要になる可能性が高いです。
業界にもよりますが、自社のコンバージョン率がBの2.35%であれば平均的ですので、ひとまず安心とも言えるでしょう。
ただ、Bの数値にいるままでは競合他社とも同じ程度か追い抜かれてしまう可能性も考えられまので、Cの5.31%を目標値として設定しておくと良いかもしれません。
業界別の平均コンバージョン率について
全業界の平均値を見ていきましたが、コンバージョン率の平均値は業界や業種ごとに大きく異なります。
例えば単価が高い商品やサービスを扱っている企業のコンバージョン率は、単価が安い商材を扱っている企業のコンバージョン率より低くなるのが一般的です。
そこで、次に示す業界ごとのコンバージョン率の平均値を参考にして自社と比較して見ましょう。
EC業界 | 法務ビジネス業界 | BtoB企業 | 金融業界 | 全業界平均 | |
中央値 | 1.84% | 2.07% | 2.23% | 5.01% | 2.35% |
上位25% | 3.71% | 4.12% | 4.31% | 11.19% | 5.31% |
上位10% | 6.25% | 6.46% | 11.70% | 24.48% | 11.45% |
業界によって、平均コンバージョン率が大きく異なることがわかります。
右端の数値が全平均のもので自社の業界のコンバージョン率の程度がわかるでしょう。
EC業界は、全平均より低いコンバージョン率でも「合格」になることがわかります。
ECはサイトへの訪問者(セッション数)が多くなるので、コンバージョン率は相対的に下がってしまいます。
ECの場合には公式サイトと広告などを行っているのであればLPサイトとを分けて目標設定しておきましょう。
BtoB企業のコンバージョンは購入ではなく資料請求やトライアル申込などに設定されていることが多いと思いますが、全平均と同程度という結果になりました。
金融業界は目的意識が強い訪問者が多いと予想されることから全平均の2倍以上のCV率を達成しないと、上位企業群に入ることはおろか、業界平均をクリアすることもできません。
金融業界のマーケターはより高い数値を目標に設定することが必要と言えるでしょう。
他の業界の参考はどのようにするか
WordStreamの記事ではEC業界、法務ビジネス業界、BtoB企業、金融業界の平均コンバージョン率しか紹介されていません。
この4業界以外の業界に属している企業は、近しい業界の数値を参考にしてみましょう。
難しい場合には全業界平均の数値を目標とすることがおすすめです。
業界平均を参考に自社の目標を再度確認してみよう
今回ご紹介したデータはアメリカ企業のものが多く、必ずしも日本企業に当てはまるとは言えませんが、一つの参考数値として考えられるものになります。
コンバージョン率の目標値の適正化には適切な分析や比較が欠かせません。
自社の過去の数値からしか目標を設定していないのであれば、近い業界平均と照らし合わせてみましょう。