コロナウイルスが世界でどんどん広がる中で、幅広い様々なビジネスへの影響も免れない状況になっており、私たちは前代未聞のチャレンジを求められています。こういう大変な時期であるからこそ、デジタルを活用した顧客とのコミュニケーションが重要だと考えることが必要です。
企業も顧客も刻々とコロナウイルスへの危機意識が広がってきている状況で、どのようなクライシス・コミュニケーションメールを築くかをお困りのあなたに、今回はクライシス・コミュニケーションをテーマに、メールを活用したコミュニケーションの実践法におけるポイントをご紹介致します。
困っているあなたに、下記のコンテンツを用意しました。
目次
クライシス・コミュニケーションとは
読者のあなたは、「クライシス・コミュニケーションは、一体何だろう?」と思うかもしれません。クライシス・コミュニケーション(Crisis Communication)とは、非常事態の発生によって企業が危機的状況に直面した場合に、その被害を最小限に抑えるために行う、情報開示を基本としたコミュニケーション活動のことです。
企業の存在を脅かす事件や事故、あるいは突然の自然災害で危機的な状況に陥った時、企業に求められるのは迅速かつ適切なコミュニケーションです。一歩間違えると、企業へのマイナスの影響を与えかねないものですが、自然災害や疫病などの外的要因に対して、ピンチをチャンスに変えるコミュニケーションが求められます。
メールがクライシス・コミュニケーションの一番のチャネル!
普段から企業と顧客の間で一番よく利用されている即時的なコミュニケーションツールというと、メールがあげられます。実は、クライシス・コミュニケーションにおいて、メールを用いたコミュニケーションが重要と言われています。それは何故でしょうか。
Jason RodriguezがLitmusでのウェブセミナーによると、「クライシスの中で、メールが適宜の正式性を持っている。」これはまさにこの不確実性が高い時期に、信頼を築くために、沢山のブランドがメールという形を選んだ要因と考えられます。その他のチャネルが欠けているのはこの「正式性」の部分といえます。後で読み返せるという点も、情報がきちんと届く正式性を担保する一つの要素です。
クライシス・コミュニケーションメールを迷っているあなたへ!
最近、コロナウイルスに関する大量のメールでの案内がはあなたのメールボックスに溜まっているかもしれません。顧客においても同様ではないかと思います。この状況下で、自分からクライシス・コミュニケーションメールを配信したら本当に読んでくれるのかと疑問を持っている方もいるでしょう。
これは、顧客と企業との関係性と、提供しているサービスがこのクライシスによって新たな展開があるかどうか次第です。自分のメッセージが本当に関係し、情報があり、価値を持っている場合しか、クライシス・コミュニケーションメールを配信する意味がありません。
したがって、クライシス・コミュニケーションメールを検討するにあたり、そもそも顧客に伝えるべきコンテンツが用意されていることが重要になってきます。他社も配信しているから自社でも、とりあえずコンテンツを用意してマーケティングしてしまおう、というのが一番危険です。
もし、このクライシスの状況下における、明快なコンテンツが用意されているのであれば、次に、メールを用いたコミュニケーションのポイントをご紹介していきましょう。
クライシス・コミュニケーションメールのために何を準備するか?
クライシス・コミュニケーションメールを配信するということを決めたら、下記の6つの質問を確認してみてください。
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- このクライシスは顧客が自社の商品やサービス等の利用・導入に影響を及ぼしたか
- メール配信する理由が十分であるか(中で伝えたいコアメッセージは何か)
- どのような文章や見せ方で伝えるか
- どのセグメントの顧客にメールを配信するか
- どのようなタイミングにメールを配信するか
- メールを配信した後のフォローの対応が何なのか
特に、4番目について、異なる顧客が異なるニーズを持っているので、適切なセグメントを行うことが重要です。
クライシス・コミュニケーションメールを書く時の注意点!
次に、実際のクライシス・コミュニケーションメールの文面作成における注意点をご紹介します。
主に注意点は5つあります。
①顧客に影響がある対応・期待できる対応
コロナショックの影響により、提供している商品やサービスにどのような影響があるのか、あるいは新たに提供できるサービスがあるのか、情報を伝える必要があるかと思います。
ポイントは、明確な事実と情報しか伝えないことです。現在の状況に、正直に対応できれば、長期的な顧客の期待に繋がります。例えば、店舗を持っている企業であれば、顧客に「営業時間」、「遅れが出そうなところ」といった肝心な情報を伝えましょう。
②緊急時対応計画の詳細
商品やサービスが影響される中で、あなたは何か新しい対応策を実施しているでしょうか。対応策を講じている場合には、その内容を詳細にキチンと伝えるべきだと思います。例えば、コロナウイルスの影響により、飲食店が苦境に立たされ、売上が減少しています。外出自粛をせざるを得ない中で、店内を利用する顧客は見込めません。
一方で、株式会社メニューデザイン研究所で行われた「新型コロナウイルス感染症による飲食店のデリバリー動向調査」によると、新型コロナウイルスの影響でデリバリーする回数が「増えた」と答えた人の中で、「ファストフード」「ピザチェーン」が全ての業態の中の9割を占めています。
飲食のチェーンストアの場合、新たにデリバリー注文への対応を開始しているのであれば、その情報を丁寧に盛り込んだクライシス・コミュニケーションメールを書くと良いでしょう。
③顧客が最も関心のある質問への明確的な回答
EC事業者であれば、この時節柄で一番よくある質問は何でしょうか。やはり払戻、キャンセル、運送遅延などと関わるケースが多いと考えられます。顧客が最も気になっている情報を、より目立つ形で案内することがよいでしょう。これはより深い信頼性作りとつながることになります。
④ターゲットセグメントへの配慮
準備の部分にも少し触れたと思いますが、必ずしもあなたが持っている全ての顧客リストにメールを配信する必要はありません。あなたのメッセージに本当に興味を持ちそうな顧客だけに絞り込む必要があります。
⑤もし無料に提供する商品やサービスがある場合
もしこういう社会貢献を行っているなら、是非クライシス・コミュニケーションメールを活用して、より多く困っている顧客に情報を伝えましょう!
あなたの社会貢献活動が短期的にみるとコストになりますが、長期的な視点で、コロナウイルスが落ち着いた段階で、顧客が再びあなたが扱っている商品やサービスを利用したい場合、あなたの会社やブランド名がすぐ浮かび上がるでしょう。
これはブランドイメージやロイヤリティ向上にも役に立つと考えられます。
配信する前のチェックリスト!
クライシス・コミュニケーションメールの文面作成がようやく終わり、いち早く配信したいでしょう。しかし、この配信がその他のメールキャンペーンと違いはないことを念頭に置いて、品質をもう一度確認しましょう。重要な部分を書き忘れないように、下記にチェックリストをまとめました。
①メッセージ
- メールの中に、明確な「WHY」があること
- タイトルと冒頭の段落に「What’s In It For Me? (WIIFM)=私にとってどんなメリットがあるのか」を目立つ形で表現すること
- 顧客の興味関心と一致していること
- 緊急時対応計画の詳しい情報を提示すること
②メールの内容
- はっきり、シンプルな言葉(業界専門用語はない)を使っていること
- 語彙・単語のスペルの誤記がないこと
- 流し読みが可能なフォーマット使用
- ボダン・イメージ・ロゴなどにリンクはきちんと張り付けていること
- 受信拒否のリンクを用意すること
③ターゲット
- 関連性のある人だけを配信リストに入れること(メッセージに関心がありそうな人)
- オプトイン(メール配信許可)した人だけに絞り込んだこと
④テスト
- メールがデスクトップ、モバイル、タブレットに正しく配信できること
- メールがOutlook、Gmail、Yahooといった多様なメール媒体で正しく表示できること
- メールの中身にあるリンクの遷移先としてアクセスできること
まとめ
今まで沢山の企業やブランドなどが既に動き出し、コロナウイルスに関するクライシス・コミュニケーションメールを配信しましたが、まだ配信していない私は遅いではないかと心配している人が少なくないと思います。しかし、その考えに対しては「まったく遅くない」ということが答えです。
医療従事者や政府の発表によると、このコロナショックとの戦いはこの何週間という単位ではなくて、何か月と続くことが予想されるので、現時点でも遅いということはありません。
この度のコロナショックは、実は他社がどのようにクライシス・コミュニケーションメールを活かし、顧客と継続的にコミュニケーションを築くことができるか、今、私たちはコロナショックを通して学ぶ岐路に立っていると思います。今回の記事も微力でありながら、読者においてマーケティングの学びになることを願っています。
参考文献
Best Practices for Email Marketing During a Crisis: Webinar Recording + Q&A
https://litmus.com/blog/best-practices-for-email-marketing-during-a-crisis-webinar-recording-qa
「新型コロナウイルス感染症による飲食店のデリバリー動向調査」の結果について