昨今デジタルマーケティングの強化に取り組んでいるマーケターの方から、「サイトのユーザビリティ改善のためには何を指標にしたら良いのか分からない」「定量軸でのユーザビリティ改善のイメージが湧かない」といったお声を頂戴することがございます。
そこで今回は、サイトのユーザビリティを評価する分析手法と事例についてご紹介します。
目次
アクセスログ分析とは
サイトのユーザビリティを改善するにあたり、アクセスログを用いた分析を試みる方も多くいらっしゃるかと思います。改めて、アクセスログ分析の特徴を考えましょう。
アクセスログ分析とは
解析ツールを使用してWebサイトを訪れたユーザーの様々な行動データを収集・解析する、客観的な事実に基づく分析方法のことを指します。
ユーザーがどのような行動傾向にあるのか、ニーズを持っているのかなどを把握でき、サイトの改善に役立ちます。
例えば、以下のような情報を得ることが出来ます。
- ユーザーの流入経路
- 訪問した時間帯や曜日
- 人気のあるページ
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは無料のものから有料のものまで、様々存在します。
中でもGoogleの提供しているGA4(Googleアナリティクス4プロパティ)を活用されている企業様が多く、過去のコラムではGA4レポートの特徴と活用例について紹介させていただきました。
サイトを評価する分析手法
サイトのユーザビリティを評価する分析手法はアクセスログ分析だけではありません。
ここでは多岐にわたる手法の中から、視点や評価の基準が異なる3つの比較的取り組みやすい手法をご紹介します。
アクセスログ分析
前述の通り、ユーザーの行動やコンテンツの機能について数値で確認することが出来ます。
- 視点:客観的
- 基準:ユーザーの行動データに基づく
- ポイント:データを見極めて問題点を抽出するノウハウが必要になる
ヒューリスティック評価
ユーザビリティ分析のプロがノウハウや経験をもとに決められた観点でチェックを行い、サイトのユーザビリティを評価する分析手法です。
ヒューリスティックとは心理学的用語で、「先入観や経験に基づき、ある程度正しそうな答えを見つける思考法」を指します。
短期間に低コストで幅広い範囲の分析・評価が可能となっている他、定量分析からだけでは分からない問題を発見できる可能性があります。
- 視点:主観的/客観的
- 基準:プロのノウハウや経験に基づく
- ポイント:自社で行うと主観的になりすぎる傾向にあるため注意が必要
トライベックでは、ヒューリスティック評価としてWebユーザビリティ診断サービスをご提供しています。
Webユーザビリティ診断サービスとは、徹底したユーザー視点でWebサイトをスコアリング、お客様にとっての使いやすさを追求するトライベックブランド戦略研究所独自の診断サービスです。ユーザビリティアナリストが評価しますが、アナリスト個人の主観的な判断、偏見による評価を除くため、3人以上のアナリストによるクロス評価を実施しています。
- 1,000サイトを超えるユーザビリティ評価実績
- 5つの評価軸と117の診断項目で評価、スコア化
- 競合(任意で選定)との比較も可能
ユーザビリティテスト
実際のユーザー、もしくはそのユーザー像に近い属性の人にサイトを訪問してもらい、その様子を観察したり意見を得たりしてサイトのユーザビリティを評価する分析手法です。
生の声が聞けるためユーザー視点での行動や心理など、数値からは分からない問題を発見できる可能性があります。
- 視点:主観的
- 基準:対象となるユーザーの意見に基づく
- ポイント:対象ユーザーを探す、機材を用意する等、手間とコストがかかる
Webユーザビリティ診断の軸に沿ったログ分析
前述のように、分析手法にはそれぞれの強みがあります。
ここでは、Webユーザビリティ診断とセットでログ分析を行う事例を紹介します。
多角的な分析
アクセスログ分析は定量的なデータに基づくもので、数値的な視点から物事を評価します。一方でWebユーザビリティ診断は、数値では捉えにくいユーザーの体験を重視する定性的な分析です。これらはそれぞれ異なる強みを持ち、その視点は対照的です。
両者の強みを組み合わせることで、例えば季節ごとの変動や競合他社との比較など、より多角的な視点での分析が可能となり、顧客についての理解を一層深めることができます。
ユーザー行動プロセスと評価軸の対応
Webユーザビリティ診断では、サイトのユーザビリティを評価するにあたり、A.~E.の5つの評価軸から分析を実施します。ユーザー行動プロセスの視点でユーザビリティ診断の評価軸・評価項目が構成されており、多面的な視点から現状課題を抽出することが可能です。
- A.アクセス性:ユーザーのアクセスしようとする意志を妨げてはならない
- B.サイト全体の明快性:忙しい中アクセスしてくれたお客様に対し、瞬時にサイト内容を伝えられなければならない
- C.ナビゲーションの使いやすさ:サイト上での自由な移動を妨げてはならない
- D.コンテンツの適切性:読みにくかったり無意味なコンテンツで負荷をかけてはならない
- E.ヘルプ・安全性:ユーザーのかかえる疑問や問題を適切に解決でき、安心して利用できなければならない
同じ軸を用いたデータ分析
前述した軸を使用し、アクセスログ分析を行うことも可能です。ここではA軸とC軸の一部事例をご紹介します。
A軸:チャネル×デバイス
ここでは、流入チャネルとデバイスについてのデータを収集・分析しています。
期間ごとにデータ抽出・グラフ化することで、ユーザーがどのような経路でどのようなデバイスを使用して来訪しているのか、比率の変動を視覚的に把握することが出来ます。
また、両者のクロス集計を行うことでユーザーのボリュームゾーンを把握し、これらのデータをもとに多様なアクセス環境への対応が出来ているかを確認することが出来ます。
その他、A軸では以下のような視点で分析を行っています。
- どのように検索しているのか?
- サイト全体のビッグキーワードは?
- 下層ページに流入しているキーワードは?
C軸:コンテンツ×PV、クリック率
ここでは、コンテンツとPV、クリック率についてのデータを収集・分析しています。
コンテンツごとにPV数、クリック率を抽出し、その推移からPV数上昇に貢献している人気コンテンツを探索したり、期間ごとに比較してサイト改善前後の効果を調査したりすることが出来ます。
その他、C軸では以下のような視点で分析を行っています。
- 閲覧頻度の高いページは?
- どのページを起点に回遊しているか?
- 回遊に貢献しているナビゲーションは?
最後に
今回は、サイトのユーザビリティを評価する分析手法と事例についてご紹介しました。
デジタルマーケティングにおいて、サイトのユーザビリティ改善は重要なステップとなります。そのためには、アクセスログ分析とヒューリスティック評価など、異なる視点・手法の分析を組み合わせて、多角的な分析を行うことが不可欠です。
トライベックでは、Webユーザビリティ診断など自社特有の各種診断や調査とアクセスログ分析を組み合わせた、密度の高い顧客視点の調査・現状分析を支援することが可能です。
その他、GA4やアクセスログに関して下記のような様々なご相談に対してもご支援いたします。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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