業種別にマーケティングオートメーション(以下、MA)の活用を紹介するシリーズです。
本記事では採用、特に日本の新卒採用でのMAの活用方法を解説します。
本ブログでは何度もお伝えしてますが、マーケティングオートメーション(以下、MA)導入において、導入後の目的だけでなく担当者が具体的な実施イメージを持っているかどうか、これがMA導入成功において欠かせない条件と言えます。
本記事を執筆した2020年4月時点では新型コロナの影響で、例年開催されていた新卒向けのイベントの多くが延期、もしくは中止となっています。そのような状況だからこそオウンドメディアを通じた採用ブランディングは、就職希望者数を確保するための採用戦略の要となります。
就職活動時の重要メディアとして母集団形成に貢献するための3大ミッションは以下の通りです。
- 就職希望者を発掘し
- 就職意向を高めるために啓蒙・興味喚起を行い
- 互いのマッチ度が高い就職希望者を獲得する
MAを組み込むことで、企業からの一方的な情報紹介だけではなく就職希望者とのコミュニケーションを活性化させる、そのような効率的かつ効果的な採用活動へ進化しましょう。
目次
新卒採用にMAを利用しないとどうなるか
MAを利用して行動ログを用いた分析をしない場合、採用希望者をエントリー情報(学歴や資格情報など)から読み取り始めるしかありません。
当然この情報だけでは志望度の高さや自社との相性が読み取れず、特に選考の初期段階において全員に対して均質なコミュニケーションを取らざるを得ません。
トライベック(以下、当社)のような中小企業でも新卒採用希望者は数百人に及びます。大変ありがたいことであり本来ひとり一人とメールや電話を通じて丁寧な対応を実践したいのですが、採用担当者の人数がそこまで多くなければそのような対応をすることは難しいでしょう。
新卒採用サイトのMA活用イメージ
MAを利用すると、デジタル上の行動などから志望度や興味を推定し就職希望者をうまく分類することが可能です。
まずは新卒採用の選考プロセスからセグメント層を決定します。例えば当社では、新卒採用コミュニケーションを設計するうえで下図のように5つのセグメントに分けています。
それぞれのセグメントの意味は下記の通りです(数値は参考値です)。
- 初回接触層:初めて新卒サイトを訪れたユーザー
- 離脱層:初回接触後に1週間以上接触がないユーザー
- 検討層:2回以上サイト訪問があり合計10ページ以上のコンテンツを閲覧したユーザー
- 積極関与層:5回以上サイト訪問があり合計20ページ以上のコンテンツを閲覧したユーザー
- 選考層:選考会にて面接希望を提出したユーザー(顧客属性:面接進行中がtrue)
各セグメントの定義に沿ってMA上でユーザー分類ができるようxross dataのスコアリング機能を使用します。
続いて採用エントリ―用の受付フォームを用意します。必要な情報を入力してエントリー登録してもらえば、閲覧コンテンツを分析することでひとり一人がどのような業種や情報に興味・関心を抱いているのか把握できます。
備考欄を設けておいて志望動機などを先んじて収集しておくのも、志望度の高さを見極めるうえで有効な手法の1つです。
もちろんエントリーの動機を高める必要があるのでエントリー者専用のマイページで貴重な情報をいち早く提供するなど別の施策を組み合わせると尚良いでしょう。
外部の新卒採用サービスを利用している場合、外部サービスへ登録されたデータの利用規約を確認したうえで企業での利用が可能であればMAに取り込み、自社エントリーと同様のコミュニケーション設計が可能です。
これで採用コミュニケーションを始めるための事前準備が完了です。
ここから具体的に採用活動を行うにあたり各セグメントへのコミュニケーション方針を定めます。
選考時期ごとにMA活用のゴールを設定する
選考時期ごとに採用担当者が注力すべきKPI(重要成果評価指標)は変動します。採用開始の初期段階ではエントリー数の獲得最大化が重要ですが、ある程度中盤に差し掛かると優秀な学生からの面接応募獲得が重要視されます。
MAを活用して今何をすべきなのか。目的をぶらさずに採用活動を行う必要があります。以下に簡単に選考時期ごとの注力目標を列挙します。
採用活動初期段階
各社ほぼ横並びで採用活動がスタートされます。説明会の前の事前情報収集から選考は始まっています。まずはエントリー数を増やし採用説明会等への参加人数を確保します。
達成ゴール:説明会参加数を増やす
そのために
- Webサイトへの初回接触者数を増やす
- 繰り返しWebサイトへ再来訪してもらい企業理解を促す
- 検討層の母数を増やす
採用活動中盤
数回の会社説明会も無事完了し、本格的な面接もスタートしました。しかし、まだまだ予定採用枠数の達成には届かない状況です。説明会の追加開催をするほか、エントリーはしてくれたけど面接に進んでくれてない方も、就職活動を進めるうえで気持ちの変化があるかもしれません。離脱層を狙い目として自社への就業について再検討を促します。
達成ゴール:面接希望者数を増やす
そのために
- 説明参加者の面接希望者を増やす(前段階のゴール)
- 不足しているコンテンツを追加し、ニーズの高いコンテンツを充実させ新規エントリー数を増やす
- 離脱層にも再検討を促す
採用活動終盤
予定通りの方が面接希望を出してくれました。ここからは会社として是非入社してもらいたい方の途中辞退をいかに防ぐか、が重要です。面接の進行に合わせて、興味を引く情報をメールで提供するなど丁寧なコミュニケーションを心がけます。メールの開封率や閲覧有無などを分析し、反応がないなど気になる点があればうまく面談でフォローすることもできます。
達成ゴール:優秀な人材から内定受諾を獲得する
そのために
- 面接中の就職希望者の行動を分析し必要なコミュニケーションを行う
- 推察される懸念点を払拭し面接希望者の辞退を減らす
- 面接期間中に会社へのロイヤリティを高め内定オファー後の辞退を減らす
セグメントを見極めて効率的・効果的なコミュニケーションを
繰り返しになりますが、新卒採用活動にMAを活用することの利点は正しいセグメント層が分かるだけでなく業務効率を大幅に改善できる可能性がある点にあります。
採用希望者全員への一斉メールでは効果が薄くても、ひとり一人に合わせたメールを手動で作成していてはそれだけで時間がかかりすぎます。
セグメントの見える化をしたうえで、自動でコミュニケーションできる内容と丁寧にコミュニケーションすべき内容を明確に区分しましょう。ツールに任せれることはツールに任せ、空いた時間で生産的な業務に集中し新卒採用活動のゴールを計画的に達成しましょう。
トライベックでは様々な業界に向けてMAを利用したプランニングサービスを提供しています。本記事を見て興味を持たれた方はお気軽にお問合せください。