企業において効率的なメールマーケティングを行うための代表的なシステムとして、MA(マーケティングオートメーション)ツールやメール配信システムが挙げられます。
どちらのシステムもメール配信機能を有しますが、見込み顧客の獲得から育成まで一連のマーケティング活動を一元管理するMAツールにおいて、メール配信機能の果たす役割は重要なものとなっています。
今回はMAツールとメール配信システムの両者が持つメール配信の機能の違いや利用すると出来ることについてご紹介していきたいと思います。
目次
メール配信システムを利用したメールマーケティングとは
メール配信システムは、従来から多くの企業におけるメールマーケティングで用いられており、一度に大量のメール配信が可能なシステムです。
主にメルマガやステップメールなどの配信に用いられ、配信するコンテンツを予め作成しておけば、指定した日時にユーザに対して一斉配信することが可能です。
また、メール配信後の効果測定が可能で、ユーザの開封率やURLリンクのクリック率などが測定できます。企業の新着情報やサービス紹介、顧客との関係構築などメールマーケティングの定番ツールとして利用されてきました。
メール配信システムは、メールの作成を補助してくれる機能も搭載しています。
シンプルなテキストメールの他に、文字の装飾や図の挿入など視覚的効果を狙ったHTMLメールの作成やそのテンプレートが用意されているものが多いことも特徴です。HTMLメールの送信により開封率やURLリンクのクリック率の測定も可能となります。
ステップメールはメールマーケティング手法の1つで、段階的にメールを自動送信をすることです。
WEBフォームからの問い合わせや資料請求など何らかのアクションを起こしたタイミングを起点として、例えば当日中にお礼のメールを配信し、1週間後に機能の概要説明を記載したメールを配信し、2週間後には活用事例、3週間後には・・・という様に、段階的に異なった内容のメールを自動配信します。
メール配信システムは無料で使えるものから有料サービスのものまで様々な種類があり、多くの企業で利用がされております。
MAツールを使ったメールマーケティングとは
MAツールは、企業のマーケティング活動において、従来は人力で繰り返し実施していた定型的な業務や、人手では膨大なコストと時間が掛かるような複雑な処理や大量の作業を自動化し、効率を高めることができるシステムです。
主な機能としては、WEBフォームの生成、リード管理、トラッキング、スコアリング、シナリオ設計、メール配信機能などが挙げられます。
その中でもメール配信機能は見込み顧客の育成過程において重要な役割を果たします。MAツールを用いて自社製品に興味を持った見込み顧客に対して、メールにより適切なタイミングで情報提供することで、受注確度の高い見込み顧客に育てることが可能です。
MAツールにおけるメール配信機能は、単に自社で保有している顧客リストに対して一斉にメルマガを送信するだけではありません。
各見込み顧客に対して、適切なタイミングで必要な情報が届くように、One to Oneメールを配信し、より受注確度の高い顧客を育成します。
このメール配信機能の効果を最大化するためには、シナリオ設計が重要となります。
シナリオ設計の作成には、ターゲットの属性ごとにどのタイミングでどのメールを配信するか、見込み顧客の購買ステップの中で直面する課題を考え、それを解決するためのコンテンツを用意することが必要となります。
また、MAツールにはスコアリング機能があり、Webサイトの訪問履歴やメールの開封率などの情報をベースに、見込み顧客の興味度合いや深度を数値化します。
条件に一致したスコアリングの見込み顧客に対してメールを自動配信するようシナリオを作成することもできます。
見込み顧客がまさに欲しがっている情報を適切なタイミングで提供することができ、効果の高いメール配信が可能となると言えるでしょう。
MAツールとメール配信システムの使い分けとは
メールマーケティングを行う上でMAツールとメール配信システムの使い分けはどのように行えば良いのでしょうか。
メール配信システムを利用した方が良い場合
- メルマガのように一斉配信を行いたい場合
- 10万件以上など大規模な配信を行いたい場合
- システム利用に関する予算が限られている場合
MAツールを利用した方が良い場合
- シナリオメールを行いたい場合
- one to oneメールを行いたい場合
- カゴ落ちメールなどユーザーの行動に合わせたメールを行いたい場合
MAによるメール配信はステップメールより一歩進んだ形でユーザの行動に寄り添ったメール配信が可能で、シナリオの作り込み次第では精度の高い見込み顧客の育成が可能です。
一方で機能の面からするとMAによるメール配信の方がメール配信システムに比べて優れたものとなりますが、以下に挙げるようなデメリットも導入の際には考慮する必要があります。
導入にはWEBマーケティングの知識が必要
MAツールは機能が豊富なため、導入する場合に前提とするWEBマーケティングの知識も多くなります。また、成果をあげるための設計や体制作りには時間もややかかります。
WEBマーケティングに関するノウハウが少なかったり、運用にあまり時間を割くことが出来ない企業がメールマーケティングを始める場合は比較的負担の少ないメール配信システムの方が適していると言えそうです。
ランニングコストが高額になる可能性
MAツールはメール配信システムと比べると運用コストが高くなるものが多く、メール配信機能については配信数に応じた従量制プランであったり、無制限の場合は料金設定が一層高額な設定がされているものがあります。
また、安価なMAサービスも存在しますが、シンプルな機能しか備えておらず、メール配信システムと大きくは変わらないものもあります。
一方、メール配信システムは機能と配信数にもよりますが、MAツールと比べると比較的安価なものが多く、費用面に関しては優れていると言えるでしょう。
MAツールとメール配信システムの特徴を理解して活用しよう
MAツールは行動や属性に応じたone to oneメールができる反面、運用がやや複雑でコストも高額になる傾向にあります。
一方、メール配信システムの機能はシンプルですが、大規模なメルマガ一斉配信やステップメールなどが得意のツールです。
MAほど複雑なメールマーケティングの施策を要さずにメールを配信することが目的であれば、メール配信システムを利用した方が安い場合も多く見受けられます。
MAツールとメール配信システムを併用している場合もありますので、自社の用途に合ったツールを選び業務の効率化を図りましょう。