メールマーケティングの手法として代表的なものが「ステップメール」と「シナリオメール」です。
ステップメールとシナリオメールは業種を問わずに多くの会社で利用がされておりますが、2つの違いや使い分けについて正しく理解することで、さらに高い効果が期待できるでしょう。
今回は、ステップメールとシナリオメールの違いと効果のでる使い分けについて解説します。
目次
ステップメールとは
ステップメールとは、特定のユーザーに対して一定の期間に段階(ステップ)を踏んで複数のメールを配信するメールマーケティングの手法をいいます。
たとえば、インターネット上で商品を購入したユーザーに対してのステップメールの例は以下のようなものです。
- 購入当日にお礼と購入した商品の詳細を配信
- 1週間後に利用を仕方どうか困ったことがないかを配信
- その1週間後に商品の効果を感じてもらうためのノウハウの案内メールを配信
- さらに1週間後に口コミを書いてもらうメールを配信
- 購入から1ヶ月後に定期購入の案内メールを配信
上記のようなステップメールを送ることにより、一度購入したユーザーに商品のファンになってもらい、継続的に購買をしてもらうことで顧客生涯価値(LTV)を高めることが期待できます。
ほかにもBtoBの場合ですと、トライアルを1か月無料で提供する場合、お試し期間の終了前に本契約をしてもらえるように1週間ごとにサービスの魅力や活用方法を伝えるといったステップメールもよく使われております。
購買日や登録日を起点として、そこから何時間後・何日後にどのようなメールを送るか、というスケジュールに基づいて自動的に配信するメールをステップメールと呼び、多くの会社や様々な業種で既に利用されていると言えるでしょう。
シナリオメールとは
シナリオメールとは、あらかじめ設定したメールをユーザー毎の状況やアクションに応じて自動で配信するマーケティング手法のことです。
たとえば、名刺を交換した人をメールマガジンの配信先として登録し、配信されたメールマガジンを開いてリンクを開封したユーザーのクッキー情報をMAで取得します。
これによりユーザーのウェブ上での行動を追跡することができるようになりました。
ユーザーが自社のウェブサイト上の商品情報のページにアクセスした数と閲覧したページによってスコアを割り振り、一定のスコアに到達した時点で自社のサービスの活用事例に関するメールを送付します。
さらに、そのメールの中に商品の詳細情報の資料のダウンロードフォームを埋め込み、資料をダウンロードしたユーザーのみに翌日に別のメールを送り、商品の体験イベントの案内を送付するといったことを行います。
このようにコンバージョンの確率が高いユーザーに対して、最適なタイミングを見計らってピンポイントに適切な情報を提供することができます。
シナリオメールは多くのMAツールに機能が備わっており、メール配信システムとの違いと言えるかもしれません。
ステップメールとシナリオメールの違いとは
ステップメールとシナリオメールは、コンバージョンに繋げることを目的としてユーザーに対して一定のルールに基づいて複数のメールを配信するメールマーケティングの手法という点では共通しています。
ステップメールはある時から起算した時間や日数に基づいて一律にメールを配信するものですが、シナリオメールは個別のユーザーの具体的な行動に応じて次のメールを配信するかどうかを決定します。
そのため、個別のユーザーにピンポイントでアプローチすることができるのがシナリオメールのメリットと言えるでしょう。
ステップメールを活用するべき場合
ステップメールは、ユーザーが配信停止の操作を行わない限りは配信開始から一定の期間内に全てのメールが配信されます。
一方、シナリオメールはユーザーの行動に応じて配信されるかどうかが決まるため、いつ配信されるかをコントロールすることができませんので、一定の期間が経過すると古くなってしまうような情報を配信したいときには不適切です。
また、ステップメールは配信するメールの内容と配信のスケジュールだけ決めればよいため、運用に手間がかからないというメリットがあります。
一方、シナリオメールは、ユーザーの行動に応じてきめ細やかな条件を設定しなければ購買の可能性が高いユーザー(ホットリード)の選別という目的を果たすことができませんので、最初にシナリオ設計を行う必要があるためステップメールよりも手間がかかります。
自社が投入できるリソースとメールによって期待できる利益とを天秤にかけてシナリオメールでは費用対効果が見合わないような場合にはステップメールを活用するべきでしょう。
知名度の高い商品やBtoCで比較的購買単価が低めな商品に向いていると言えるかもしれません。
シナリオメールを活用すべき場合
シナリオメールはユーザーの行動に基づいてメールを配信するため、配信の過程で購買に繋がる可能性が低いユーザーとホットリードを振り分けることができます。
これにより、自社の商品・サービスに関心があるユーザーに対して段階的に情報を提供したり、購買の確度の高いリードを営業部門に引き継いでセールスを行ってもらうといったことができます。
また、MAを活用してシナリオメールを配信し、顧客関係管理(CRM)システムと連携させることによって、顧客情報と自社との関係性の強さに関する情報を一元化して社内で共有することもできます。
ユーザーが長期間にわたって慎重に比較検討を行うような商品・サービスを売りたい場合や、マーケティング部門と営業部門が連携して顧客との関係構築を進めていく必要がある場合などに向いています。
一方、シナリオメールにはシナリオ設計に時間と手間がかかるというデメリットもありますので、メールによって見込める利益が小さい場合には向いていません。
シナリオメールの利用を検討すべきビジネスとして、BtoCで自動車、不動産、金融、保険などの高額商品を扱うケースや、BtoBビジネスのケースが考えられます。
シナリオメールでは全てのメールが配信されるとは限りませんので、一通で内容が完結しない、いわゆる「シリーズもの」のメールを配信したい場合にはステップメールを利用しましょう。
ステップメールとシナリオメールをうまく使い分けて効果を出そう
ステップメールとシナリオメールにはそれぞれの特徴があり、両方の施策をうまく使い分けている会社も見受けられます。
ステップメールとシナリオメールはともに最初に設定を行っただけで満足するのではなく、コンテンツやタイミングなどの効果測定を行って効果を高めていくことも忘れてはいけません。
シナリオメールがあればステップメールが不要になるわけではありませんし、ステップメールだけを行っている企業ではシナリオメールを検討してみてもいかがでしょうか。