最近は国内でもBtoB企業を中心としてMA(マーケティングオートメーション)を使い、スコアリングに取り組む企業が増えています。
しかし、せっかく導入したもののうまく運用に乗らず失敗してしまう企業も残念ながら見受けられるようです。
今回はMAでの失敗を減らすために、MAを使った正しいホットリードの定義についてご説明します。
目次
スコアリングとホットリードとは
まずはスコアリングとホットリードの意味から抑えていきましょう。
スコアリングとは、リード(見込み顧客)の購買意欲を可視化するための手法です。リードスコアリングとも言います。リードのスコアが高ければ高いほど購買意欲の高いリードである可能性が高くなります。
ホットリードとは、簡単に言うと受注確率の高い見込み顧客のことを指します。
リードにも様々な段階があり、「すぐに受注につながりそうな段階のリード」をホットリードと呼び、逆に「すぐに受注につながりにくい段階のリード」の事をコールドリードと呼ぶことが多いです。スコアリングが高い方がホットリードの可能性は高くなります。
リードスコアリングを運用することにより、リードを営業にパスするホットリードと、
まだまだナーチャリングが必要なコールドリードに分類することが可能になります。
しかし、このホットリードの定義が会社によって異なるため、MAツールを導入するだけで必ずしも自社に合ったスコアリングができるわけではありません。
ホットリード作りの課題とは
ホットリード作りの課題としてよく上げられるものとして、マーケティング部と営業部に壁があるということが挙げられます。
マーケティング部は「質のいいホットリードを抽出し営業部に渡す」という命題があり、
営業部は「ホットリードをしっかりフォローし受注につなげる」という、一見連携した目標を持っていますが、実態は「マーケティング部がつくるリストが悪い」とか「営業の能力が低くてクロージングに至らない」といったように、お互いに不満を持っていることがあるのではないでしょうか。
連携しなければいけないはずの部署同士がこのような状態では受注率を上げていくことは簡単ではありません。
もう一つの課題として、ホットリードの定義が難しいということがあります。特にBtoBの場合は、リードタイムが比較的長いためスコアリングするポイントの付与やどこまで加点されたらホットリードと呼ぶのかを決める難しさがあります。
ホットリードの定義を行うコツとは
自社に合ったホットリードの定義に必要なプロセスとはどのようなものがあるのでしょうか。最初に行うこととしては自社の営業リソースの確認です。
1、営業リソースの確認
ホットリードの母数をコントロールするためには自社の営業リソースを考える必要があります。例えば営業担当者が多いにも関わらずホットリードが少なすぎると営業の仕事が減ってしまうことが考えられます。
逆に営業担当が少ない会社では、ホットリードとは言え母数が多すぎると手が回らなくなってしまい、ホットリードの中でもさらに優先順位を付けるという必要が出てしまいます。
ある程度ホットリードの母数を調整しながら営業効率が上がることを意識しておくことが重要です。
2、既存顧客の分析とペルソナ作り
次に実施すべきこととしては、過去の契約事例や成績の良い営業担当が思うホットリードの要件をヒアリング、分析してホットリードのペルソナを作ることです。
既存顧客の業種、会社規模、地域、担当役職といった要素を洗い出し、受注率の高いセグメントをホットリードにすることで、一つのホットリード抽出の指標ができます。
その指標を元にPDCAを回していくことで、ホットリードの定義の質が上がっていくでしょう。
ポイントとしては、BtoB向けの商材の場合には意思決定できるかどうかが重要のため見込み顧客の役職にスコアリングの重きを置いておくことが多く、BtoC向けの商材では、性別、年齢、職種、年収などが重要となることが多いです。
特に値段が高価な商材の場合にはその傾向が強まりますので、自社の商材はどのレイヤー層が購買の意思決定を行えるのか分析しておきましょう。
3、購買プロセスで重要な接点を探す
続いて行うのが見込み顧客の購買プロセスにおいて重要な接点を探しましょう。
例えばBtoBの商材の場合には、
・セミナーに参加した見込み顧客はその後契約に至る可能性が高い
・自社サイトを10回以上訪問している見込み顧客は契約に至る可能性が高い
・自社サイトで料金表ページを何度も見ている場合には比較検討や予算策定をしていることが多く商談に繋がりやすい
と言ったことが挙げられます。
ホットリードの定義付けについてご紹介しましたが、気を付ける点としては最初から定義を複雑化しすぎないことです。
複雑にしすぎてしまうと要件に乗らなかったり、ホットリードの母数が足りなくなったりすることがよくあるので、まずはシンプルに3つぐらいの要素を掛け合わせてホットリードを定義したほうがいいでしょう。
また、ホットリードを定義する際には、前述のマーケティング部と営業部の確執を取り除くことも忘れてはなりません。
このような部署間の摩擦は、コミュニケーション不足により起きる場合が多いので、営業側がホットリードを考え、それをマーケティング部に理解してもらうという流れで、お互いが納得したホットリードの定義を作り、理解しあうことがとても重要です。
ホットリードの見直しを行って改善していこう
MAをうまく活用すれば、スコアリングによってホットリードの可視化が行えて営業効率が高くなると言えるでしょう。
ホットリードと一口で言っても業界や企業によって違いが出て来ますので、営業部門と連携して自社のホットリードのペルソナ作りや、収益に貢献している既存顧客を元に分析を行っていきましょう。
一度ホットリードの設計をしたら終わりではなく、実際に契約まで行く可能性が高いのか、母数は多すぎず少なすぎないか、収益に貢献しているかを定期的に見直しながら改善を行ってみてはいかがでしょうか。