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iOS15によるメール開封率への影響を調査

 

メールマーケティングの重要なKPI(業績評価指標)として「メール開封率」が挙げられます。

 

しかし、Apple社が提供を開始した「iOS15」から正確なメール開封率の取得が難しくなり、メールマーケティングにおいて注意が必要となっていることはご存知でしょうか。

 

2021年10月頃からメール開封数や開封率が以前より高くなっていると感じている方がいれば、それはiOS15の影響かもしれません。

 

そこで今回は、iOS15によるメール開封率への影響について弊社の取り組みも踏まえてご紹介いたします。

iOS15のメールプライバシー保護に伴うメール開封の仕様について

Apple社が提供を開始したiOS15よりプライバシー保護強化の一環として「メールプライバシー保護」が新たに搭載されました。

 

iPhoneでは、「設定>メール>メッセージ プライバシー保護」の設定へ進むと、以下のようにプライバシー保護を行う文言を表示し、ユーザーが設定を選択できるようになっています。

 

メールプライバシー保護

メールプライバシー保護により、IPアドレスが非公開になり、メールメッセージを開いていない場合でも、リモートコンテンツがバックグラウンドでプライバシーを保護した形で読み込まれるようになります。これにより、送信者があなたの”メール”でのアクティビティを追跡することが困難になります。

”メール”でのアクティビティを保護

IPアドレスを非公開にし、リモートコンテンツをすべてプライバシーを保護した形で読み込みます。

 

日本では2021年9月21日よりiOS15がリリースされており、徐々にアップデートを行うユーザーが増えています。

 

今回のアップデートにより、HTMLメールの中に埋め込んでいる画像参照パスから「メール開封」や「IPアドレス」などの情報を直接的に取得できないような仕様が実装されました。

 

具体的には、ユーザーがiPhoneなどに搭載されているAppleの標準メールアプリを利用している場合、受信したメールはApple側でキャッシュされてバックグラウンドで保存されてしまうため、その際に「実際の開封の有無に関わらず自動的に開封した」と見なされてしまう仕様となっています。

 

今回の仕様変更によって受信者がいつメールを開いたかを差出人が知るのを防ぐプライバシー保護強化が目的であるようです。

 

参考:https://www.apple.com/jp/newsroom/2021/06/apple-advances-its-privacy-leadership-with-ios-15-ipados-15-macos-monterey-and-watchos-8/

 

こちらの機能はオン・オフをユーザー自身で設定が出来ますが、「メールのプライバシーを保護するか?」という確認を促されるため、多くのユーザーがオンにする可能性が高いと言えるでしょう。

 

また、HTMLメールの効果測定はメール配信ツールやMAツールなどの標準機能となっていることが多いので、多くの企業で利用されていることから影響範囲が大きいと見られます。

 

メール開封率の計算方法

「メール開封率」はメールマーケティングにおけるKPIとして最も重要な指標の一つです。

 

メール開封率はメール送信数のうち、実際に開封されたメールの割合を指します。

 

メール開封率=(メール開封数÷メール送信数)×100(%)

 

iOS15によるメール自動開封への対策について

上述のように、iOS15のユーザーでメールプライバシー保護を設定するとメールの開封の有無に関わらず、Apple社の標準メールアプリでメールを受信している全ユーザーが自動的にメール開封をしたとみなされてしまいます。

 

iOS15が発表されて以来、メール開封率や開封数が以前より高まったと感じている方もいるのでは無いでしょうか。

 

弊社が提供している「HIRAMEKI XD ヒラメキクロスディー」ではiOS15への対応策として、従来のメール開封データとiOS15で標準メールアプリでメールを受け取っているユーザーの自動開封のデータを混在させないために、iOS15の自動開封を計測するための「メール自動開封」の指標を追加しました。

 

なお、HIRAMEKI XDのようなiOS15への対応を行っていないツールでメールの施策効果を分析している場合には、メール開封数・開封率のデータに実際は開封されていないデータが混在しているため、逆に計測結果が以前よりも上昇する恐れが高いと言えるでしょう。

 

メール自動開封でどの程度の影響が出るのか?

日本ではiPhoneユーザーが他国よりも高いことが知られており、2021年12月時点では以下のように約半数の人がiOSを利用しているようです。

 

参考:MMD研究所(2021/12/14)『メイン利用のスマートフォン、iPhoneは45.7%、Androidは47.0% 10代、20代は男女ともにiPhoneの利用率がAndroidの利用率を上回る』

 

さらに、実際に弊社のお客様データを元にした「メール開封数」に関する情報がありますので見ていきましょう。

 

 

表1では、メール配信数(11,082,280)に対する総開封数が(3,719,201)となっております。

 

その中でiOS15による自動開封数が(1,763,113)というデータになっていることから、配信数の約15.9%程度がiOS15のユーザーということが見て取れるでしょう。

 

今後アップデート者数が増えていくにつれて、徐々に自動開封数も増加していくことが予想されます。

 

メールプライバシー保護に対応するには

今回のApple社による機能アップデートを踏まえた上でどのように対応をすると良いのか悩むご担当の方も多いのではないでしょうか。

 

メール開封率の数値は以前と同じようには取れなくなってしまいましたが、ユーザーの行動自体は変わっておらず、メールクリック率やコンバージョン率については以前と同様に取得可能です。

 

クリック率

「クリック率(CTR)」はメールが開封された後にメール文章内のURLリンクをどの程度のユーザーがクリックしたかの割合です。

 

多くのメールマーケティングではユーザーへの期待するアクションとしてサイト流入を見込んでいる場合が多いと思いますので、重要な指標と言えるでしょう。

 

クリック率=(クリック数÷メール送信数)×100

 

コンバージョン率

「コンバージョン率(CVR)」はメールマーケティングからのコンバージョンがどの程度あったかを示す割合です。

 

コンバージョンの種類としては資料請求やお問い合わせ、セミナー申込み、購入などが挙げられます。

 

コンバージョン率=(目標達成件数÷メール送信数)×100

 

例として、弊社のお客様データを元にした「クリック率」に関する情報を見てみましょう。

 

メール自動開封が通知されたユーザーのなかでも、あとから実際にメールを開封してクリックしている割合が一定数いることがわかります。

 

これらのことからメール自動開封を区別しないで以前と同じように計測していると、

  • メールの開封率、開封数は自動的にアップ
  • 水増しされた開封数を母数としてしまうと、相対的に対開封のクリック率やコンバージョン率は自動的にダウン

といった結果になることが予想されるでしょう。

 

メールマーケティングの指標を再度見直そう

今回はiOS15における機能ですが世界的にプライバシー保護に関する意識が高まっていることもあり、今後はAndroidなど他OSでもメール開封率を計測できないようにする機能が追加されることが考えられます。

 

メール開封率のデータ取得は難しくなってしまいますが、その状況でもメールマーケティングが担う役割や効果については、これまでと同様に重要なポジションを得ていることには変わりません。

 

自社の状況把握の第一歩としては、お使いのメール配信ツールやMAツールなどがメール自動開封を検知しているか確認してみましょう。

メール開封を正確に計測することに興味があれば弊社サービスのご利用も検討いただければと思います。

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カテゴリー: マーケティング, メール, 分析