大手ECサイトではもちろん、最近では中小〜中堅ECサイトでも活用が広がってきているカゴ落ち(カート放棄)対策メール。自分がカゴの中に商品を入れたままにした際に、メールなどで「お買い忘れはありませんか?」のような通知が届いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
お客様が商品をカゴの中まで入れたということは、興味関心が高いであろうことからもカゴ落ち対策は比較的効果が出やすいことが事例などでも実証されております。
既にカゴ落ち対策は行なっている方へ次にオススメしたいのが、「 ブラウザ放棄対策 」です。
ブラウザ放棄対策 とはどのようなもので、どんな特徴があるのかについてカゴ落ち対策との比較もした上でご紹介させていただきます。
ブラウザ放棄 とは
ブラウザ放棄とはECサイトで商品詳細を見たものの、購買やお気に入り登録も行わずに閲覧のみを行なってサイトを離れてしまったことを指します。
ブラウザ放棄以外でも商品詳細ページ閲覧離脱やサイト離脱といった呼び方で使われる場合もあります。
お客様の購買までのプロセスとして、
- 商品詳細ページ参照
- お気に入り登録
- カート投入
- 商品購入
があり、場合によってはお気に入り登録をしないでそのままカートに入れることも多いですが、商品詳細ページの参照は必ず通るプロセスと考えられます。
そのため、興味関心としてはユーザーによって幅があり、購買まで近い場合もあれば、たまたま間違ってクリックしてしまった場合もあるでしょう。
一方でカゴ落ちよりも圧倒的に母数が大きいために、ブラウザ放棄を行なっているユーザーの一部でも購買に繋げることができれば、売り上げに与えるインパクトも大きくなりますのでオススメの施策として挙げさせていただいております。
ブラウザ放棄対策メールはどうやって行うのか
では実際にブラウザ放棄対策を行う際にはどのように行えば良いのでしょうか。
考え方としては、「誰」と「どの商品」と「いつ見たか」の3つを組み合わせることができれば対策を行うことが可能です。
既にカゴ落ち対策を行われているECサイトの場合ですと、「カゴに入れた」というアクションログの代わりに「どの商品を見たか」を抽出し、商品を購入していないユーザーをピックアップして施策を行えば比較的簡単に行うことができるのではないでしょうか。
カゴ落ち対策と違いのコツを挙げるとすれば、詳細ページを1回だけではなく、何回か見たユーザーのみを対象にすることも良いかもしれません。
1回見ただけの商品の場合、興味関心が低い可能性も高く、毎回のようにリテンション通知が届くと煩わしいサイトだなと思われてしまう可能性も出てきます。
そのため、何回も商品詳細ページを見たということは興味関心が高い可能性がありますのでリテンション施策を行うターゲットとして訴求する価値が高いと考えられるでしょう。
カゴ落ち対策と同様にブラウザ放棄対策も早ければ早いほど効果が高いことがデータとしてありますので、なるべくユーザーの興味関心が薄まらないうちに施策を行なってみてはいかがでしょうか。
送る文章は「いつもサイト来訪ありがとうございます」といった御礼系や「お探しの商品はありましたか?」のようなサポート系、「最近見た商品」のようなリマインド系のパターンがあります。
送る内容としては、「商品画像」、「商品名称」、「商品金額」、「商品説明文」が一般的ですが、ABテストをして内容を変えて改善をしていくこともオススメです。
カゴ落ち対策とブラウザ放棄対策を比較してみた結果
実際にカゴ落ち対策とブラウザ放棄対策を比較して見た結果をご紹介いたします。
カゴ落ち対策のメール配信数が1,900通に対して、ブラウザ放棄対策のメール配信数が12,000通と約6.3倍。やはり全体の母数は商品を閲覧したのみのユーザーの方が圧倒的に多いです。
続いてCVRは興味関心が高いカゴ落ち対策が11.32%、ブラウザ放棄対策は7.9%と約1.4倍カゴ落ち対策が高い結果となりました。
最後に売り上げの結果ですが、カゴ落ち対策は350,000円に対してブラウザ放棄対策は1,300,000円と約3.7倍ブラウザ放棄対策が上回る結果となります。
この差は業界や商品単価によっても大きく異なりますので、まずは実際に母数がどれくらい違うものなのかを「見える化」してみるだけでもECサイトの売り上げ改善の第一歩になることが期待できそうです。
徐々に施策を増やして効果を高めていこう
カゴ落ち対策を既に行われているサイトが多い中で、ブラウザ放棄対策についてもご紹介をさせていただきましたが、思ったよりも売り上げに繋がりそうだなと思われた方も多いのではないでしょうか。
ただし、上記でもあったようにリテンション施策を行いすぎるとユーザー離れが起きる逆効果にもなりかねませんので、徐々に施策を増やしていくこととフリークエンシーにも気を付けた運用を意識してみましょう。
ブラウザ放棄対策については、まだ導入しているサイトが少ない今のうちが狙い目かもしれません。
今回は主にメール施策の効果でしたが、アプリプッシュやLINE、WEBプッシュなど他のチャネルでの事例も出てきておりますので、ユーザー属性に合わせた最適な配信施策を考えて効果を出していきましょう。