「メールマーケティングを行っているが、効果が出ているのかわからない」、「件名や配信時間など、何が正解なのかわからない」このような悩みはマーケティング担当者からしばしば聞かれます。
ただ漫然とメールを配信しているだけではメールマーケティングによる集客やブランディングの効果は期待できません。
メールマーケティングで効果を上げるためには、配信前にメールの内容をよく吟味し、配信したメールの反響を分析し、改善点を検討して次に生かすことが重要です。
言い換えるなら、「PDCAサイクル」、つまり「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を回すことが大切です。
より緻密にPDCAサイクルを回すために非常に有効な手段が「ABテスト」です。
今回は、メールマーケティングの効果を上げるためにABテストのやり方と方法を解説致します。
ABテストとは
ABテストとは、無作為に分けた2つのグループにそれぞれ違う内容のコンテンツを提供し、どちらがより効果的か検証するウェブマーケティングの分析手法です。
大手を含む多くの企業で導入されている手法で、アメリカでは大統領選挙戦などでも大規模なABテストが行われたと言われています。
ABテストのやり方の例としては、同一の商品やサービスについて、デザインやキャッチコピーが異なる2種類のページを作成し、それぞれをリスティング広告のランディングページとして設定します。
信頼性のあるアクセスデータが取れた時点で、直帰率、クリック率、コンバージョン率の違い、ヒートマップツールによる離脱ポイントや熟読ポイントの変化などを検証し、どちらのページより効果的か分析します。
これを繰り返すことによって、より大きな反響を得られるランディングページの精度を上げていくことができるのです。
ABテストの利点は、予算がなくても実施することができ、実施のための手間も比較的少なくて済むことも挙げられます。
もしアクセス数の向上や反響率の改善のためにウェブサイト全体をリニューアルするとなれば、費用も手間も相当にかかることになります。
一方、ABテストでは小さな改修を行って変化を検証するものなので、費用がかからず、手間もほとんどかかりません。
一度のABテストで分析できるのはちょっとした点にすぎませんが、実際のユーザーの行動に基づいた、信頼性の高い検証結果を得ることができるのです。
ABテストはランディングページだけでなく、ファーストビューの画像、リスティング広告の広告文、問い合わせへの導線、バナーの色や大きさなど、ウェブマーケティングにおけるさまざまな場面で活用することができます。
メール配信でのABテストとは
ABテストはメールマーケティングにおいても大いに活用することができます。
たとえば、メールの件名を変えて開封率を分析する方法です。メ—ルマガジンの件名に日々頭を悩ませている方は多いことでしょう。
ところが、どんなにメールの件名を工夫しているつもりでも、全ての配信先に同じ件名で配信していれば、効果を分析したり改善策を検討することはメール単位で異なってしまいます。
そこで、同じ内容で件名が異なるメールを2つのグループに配信することにより、どちらの件名がよりメールを開封してもらえるか分析を行うことができます。
この分析結果から傾向を把握し、次回送るメールの件名を検討してみましょう。
ABテストによって検証できるポイントは、件名以外にも、配信の曜日、配信時間、HTMLかテキストか、宛先(受信者の氏名)の有無、コンテンツの量、画像の有無など、さまざま考えられます。
このとき注意しなければいけないのは、一度に検証するポイントは1つか多くても2つ程度に絞ることです。
たとえば、件名と配信時間を両方変えた2種類のメールを配信してしまうと、結果に差異が出たとしても、その結果が件名の違いによるものだったのか配信時間の違いによるものだったのかがわかりにくくなってしまいます。
件名による違いを分析したい場合は、配信時間など件名以外の部分は同一にするようにしましょう。
慣れてくればABテストでも一度に複数の違いを持たせたメールを細かく分けて分析することも可能です。
メールマーケティングのABテストのやり方
では、メールマーケティングでABテストを行うためにはどうすればよいのでしょうか。
最近は多くのメール配信システムにABテスト機能が実装されていますので、これを利用することで簡単にABテストを実施することができます。
メール配信システムのABテスト機能は、配信先をランダムのグループに分け、2つ以上のメールを配信し、開封率などの変化を分析できるものです。
検証結果はグラフやデータ化により、視覚的に捉えることができるものも増えています。
マーケティングオートメーションの多くも、ABテスト機能を備えています。マーケティングオートメーションでは、開封率やメール内のリンクのクリック率はもちろんのこと、ターゲットがメールのリンクから自社のサイト内のどのページを回遊したか、実際にコンバージョンまで至ったのかも把握することができます。
弊社xross dataでもABテスト機能を実装しており、%単位で細かくABテストの配分を変更することや一度に複数のABテストを行なって分析することも可能です。
定期的にABテストを行なってメールマーケティングの効果を高めよう
マーケティングの担当者が何よりも重視しなければいけないのは、より反響が出やすい施策を行い、運営しているウェブサイトやメールマーケティング を売上げに繋げることです。
マーケティング担当者は顧客と直接会って話しをすることが少ないこともあり、「AとB、どちらがいいか」と問われると「何となくこちらの方がいいような気がする」、「こちらの方が自分の好みだから」といった曖昧な基準でしか答えられない方も少なくありません。
ABテストは、ちょっとしたデザインやキャッチコピーの違いの効果を手軽に確認することができ、ユーザーの統計的なデータを元に効果を検証することができます。
ABテストによる検証を重ねていくことによって、マーケティング担当者の独りよがりではなく、真にユーザーの目線に立った施策を行うことが可能になります。
「メールマーケティングによる効果が出ているのかわからない」という悩みをお持ちのときには、ABテストによって緻密にPDCAサイクルを回し、少しずつでもよいので確実に効果を実感できるような改善策を講じてみてはいかがでしょうか。