BtoBマーケティングを行われている方であれば、アカウントベースドマーケティング(ABM)という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。
数あるマーケティング施策の中でも非常に高い効果が出ているという企業も多いと言われています。
では実際にアカウントベースマーケティングとはどのようなもので、どうやって進めて行くのが良いのでしょうか。
今回はBtoBマーケティングで重要なアカウントベースマーケティングについてご紹介させていただきます。
目次
アカウントベースマーケティングとは
アカウントベースマーケティングとは、自社にとって注力してアプローチや取引するべきアカウント企業はどこかを絞ってマーケティングを行うことを指します。
BtoBでの取引の場合、業界や業種にもよりますが1社あたりの取引金額の違いが10倍、100倍を超えることも珍しく無いため優先順位をつけてリソースを効率的に活用することが求められます。
アカウントベースマーケティングを行うための手順
実際に自社でアカウントベースマーケティングを行っていくにはどのようにすれば良いか、以下に手順をご紹介いたします。
対象となるアカウントの設定
最初に行うべき手順は、自社が優先的に注力すべきアカウントはどこかをターゲティングして設定することです。特定の業種に絞るだけではなく、個別の企業名でリストアップしましょう。
ターゲティングに使われることの多い項目
- 売上規模
- 利益額、利益率
- 自社製品、サービスとの適合性
- 競合との優位性
- 地域
コンタクト履歴の確認
対象となったアカウント企業とのコンタクト履歴の有無を確認します。SFAなどのツールで管理していれば「いつ」「誰と」「どのような」内容で接点があったのかを調べることが可能です。
アカウントベースマーケティングを行うためには、自社の顧客情報をデータベース化しておき、必要なタイミングで特定できる必要があります。
過去にコンタクト履歴があればメールや電話などで連絡が可能ですが、無い場合にはどのように接点を持つかを検討するところから始めましょう。
BtoBの場合にはリードタイムが比較的長く、契約の際には意思決定に関わる人が複数人存在するケースもあります。キーとなる意思決定者が何人いて、どの部署の誰かを事前に知っておくと後々スムーズに商談を進めることにも繋がるでしょう。
コンタクトの実施
カスタマージャーニーを通じて適切なタイミングでアカウント企業の担当者とコンタクトを持ち、関係を構築していきましょう。
既に関係性ができている場合には電話やメールなどで商談を進めて行くことも出来ますし、まだ関係性が薄い場合にはメールマーケティングやセミナー集客などによってコミュニケーション向上を図っていくことも重要です。
マーケティングオートメーションを利用することでスコアリング管理が可能となりますので、対象アカウントの見込み度合いの見える化を行うこともおすすめです。
アカウントの効果測定分析
対象となっているアカウント企業へのマーケティングに対する効果測定の分析も行いましょう。効果が出ていない場合には、なぜ効果が出ていないのかを分析して他の成果が出ているアカウントとの違いを分析します。
コミュニケーションの方法に改善の余地があるのか、そもそもアカウントの設定自体を見直す必要があるのかなどを確認することで取るべき施策の見直しが変わってくるでしょう。
なぜアカウントベースマーケティングが注目されているのか
では今なぜアカウントベースマーケティングが注目されているのでしょうか。
実はアカウントベースマーケティングは新しい概念ではありませんが、ここ数年取り上げられることが増えているのはマーケティングオートメーションツールの定着とWeb解析技術の発達が挙げられます。
仮に対象のアカウント企業を設定してコミュニケーションを行っていても、現在ほどOne to Oneマーケティングの自動化が行うことが難しかったため、営業個人個人がアナログでの管理やある程度同一のマーケティングを行うのが定番となっていました。
また、Web解析技術の発達によってオンライン上の行動履歴が見える化されることによって、どの程度自社に興味関心があるのか、どこのページのどの部分をよく閲覧しているのかなど情報収集が簡単に行うことができるため、対象アカウントごとにコミュニケーションを最適化することが可能になりました。
このように従来よりもアカウントベースマーケティングを行う環境が整ってきたことが改めて注目されている要因として考えられます。
アカウントベースマーケティングを行う際の注意点
上手に行うことで高い効果が得られるアカウントベースマーケティングですが、実施する際の注意点についても見ていきましょう。
アカウントの管理
アカウントベースマーケティングを行うにあたっては、名前の通りアカウントの一元管理や名寄せが必要になります。SFAやマーケティングオートメーションなどのツールを使ってコンタクト履歴やスコアリングを行い、いつでもアカウントの最新情報を見ることができる状態にしておくことが肝要です。
LTVが低い商品、サービスでは向かない
アカウントベースマーケティングは自社にとって売上や利益を大きく見込めるアカウントに優先順位を付けて取り組むため、1社あたりのLTVが低い商品、サービスでは向かない場合もあります。
その場合にはマスマーケティングや獲得コストの見直しなど他の施策を効率化することを優先した方がマーケティングROIが上がりやすくなります。
中長期的な視点で見る
商材や金額によってはリードタイムが長くなってしまい、1年以上かかってしまうことも考えられます。中長期的な視点を持って取り組むこともアカウントベースマーケティングにおいては重要です。
アカウントベースマーケティングを行って営業効率を高めよう
アカウントベースマーケティングとは、営業部門とマーケティング部門との連携を図ることで優先順位の高い顧客をターゲット化して、マーケティングの効果を高める手法と言えるでしょう。
初めの段階ではアカウントをむやみに増やすのではなく、より多くの売上と利益を見込める特定の対象顧客に対してマーケティング活動を重点的に行うために徐々に広めていくことが効果的です。
アカウントのターゲティングと合わせて重要視したいのが、各アカウントの意思決定者を特定し、ニーズに合わせたコミュニケーションを行っていくことが挙げられます。
効果測定の分析を通じて見直しと改善を行いながら効果を出し続けていくことを意識していきましょう。