日本でも大手企業を中心として導入が広まってきているマーケティングオートメーション。ではマーケティングオートメーションと聞いて皆さんはどのようなことを思い浮かべますか?
直訳すると「マーケティング」を「自動化」出来るサービスのようにも聞こえますが、マーケティングオートメーションを導入したからといって必ずしも全ての企業がうまくいっている訳ではありません。
その理由の一つとして、マーケティングオートメーションを導入することで大半のことを自動化することができ、効率化が行えるという印象があることが挙げられるのではないでしょうか。
たしかにマーケティングオートメーションを導入してうまく活用することでマーケティングの効率化をすることは可能ですが、残念ながら全てを自動化できるわけではありません。
マーケティングオートメーションをうまく活用していくために、自動化できるところとできないところを予め知っておきましょう。
目次
マーケティングオートメーションで自動化できるところ
マーケティングオートメーションを導入することで自動化できるところにはどのようなものがあるでしょうか。ツールによって機能が異なる部分もありますので、代表的な機能の例でご紹介します。
リード情報の収集
新しいリード情報を得ることはリードジェネレーションと呼ばれますが、マーケティングオートメーションツールではサイト上での会員登録やお買い物をする際に情報を入力してもらうことにより、新しいリード情報を自動的に収集します。
マーケティングオートメーションではリテンション施策を行うことがメインの目的となるため、リード情報の収集が肝になります。
リードの行動ログ情報収集
自社サイトのページ閲覧履歴や閲覧時間、ECサイトなら購買履歴や商品閲覧履歴といったWebサイト上の行動を、個別のリードごとに自動収集することができます。
これにより、顧客毎にいつどのような行動をとったのかが分かり、リードの行動パターンや嗜好性などの把握が可能となります。
メール配信
メールを自動配信設定することによるリテンション施策はマーケティングオートメーションツールの主要な機能の1つです。
例えば初回資料請求してから3日後にステップアップメールを送る、カゴ落ちしたユーザーに対してリマインドメールを送るといったことを事前に設定しておき、コンテンツを用意すれば自動化することが可能となります。
さらに、専用のページを用意しておくことで送信したメールに対するレスポンスも自動的に収集することもできますし、メールにパラメータを振っておけばクリック率やCVRなどの施策による効果測定を行うこともできます。
LINE連携
LINEと連携してWEBサイトで特定のアクションを起こした際に顧客へ通知を送ることや、LINEトーク画面上でのユーザー発信イベントを元に双方向のコミュニケーションを行うことができます。
ツールによってはLINEに限らずソーシャルメディアへの投稿を自動化できるものや、ソーシャルログインを行い、自社会員とID連携ができるものもあります。
LINEなどSNSを使ったマーケティングは、どちらかというとBtoC向けの企業で使われることが多いかと思います。
こちらもメール同様に効果測定を行うことができます。
プッシュ通知
デバイスの待ち受けに直接メッセージを届けることができます。
プッシュ通知と聞くと、アプリプッシュ通知を思い浮かべる方が多いかと思いますが、WEBプッシュ(ブラウザプッシュとも言う)も配信チャネルとしては有力になりつつあります。
送信できる情報量が少ないため、基本的にはアプリを起動したりWEBページに誘導するための手段となりますが、メールの代替手段として注目されており、基本的にはメールやLINE同様に行動ログなどの情報を元にした配信の自動化と効果測定が可能です。
コンテンツ最適化
メールやLINEなどのSNS、プッシュ通知などの配信チャネルだけではなく、サイト上コンテンツや広告を顧客に合わせて自動的に最適化する機能もあります。
属性や行動履歴から嗜好や状況を判断し、広告を含むサイトコンテンツをリードごとにパーソナライズして配信するものです。
例えばレコメンド機能によって関連商品を表示することや、リタゲ広告の中身を直近にアクセスした商品が出るように最適化させることです。
顧客セグメンテーション
リードの購買情報や行動情報をトラッキングして、顧客セグメンテーションをすることができます。
BtoBの場合は、セグメント抽出されたホットリードを営業部門などに自動的に引き渡すことで、担当者はタイミング良くアプローチすることが可能で有利に商談を進めることの手助けになります。
BtoCの場合には優良顧客に対して限定プログラムの紹介をしたり、逆にしばらく購買がない顧客に対してクーポンの配布を行うなどモチベーションの向上に繋げることが可能となります。
施策の効果測定
マーケティングオートメーションツール上で行った施策の結果について、配信数、開封、クリック、ベージ閲覧、購買などの情報として収集し、効果測定を行います。それらの結果を元にどの配信チャネルのどの施策で効果があったのか、どのコンテンツが反応が良かったのかを検証することができます。
ツールによってはA/Bテストが簡単に行える機能を搭載しているので、それほど手間を掛けることなく実現可能です。
マーケティングオートメーションで自動化できないところ
上記でご紹介させていただいたようにマーケティングオートメーションはマーケティング活動の中で多くの部分を自動化することができます。
しかし、すべてのマーケティング活動を自動化できる訳ではありませんので、人が行う部分に関して正しく理解しておく必要があります。
シナリオ設計(マーケティング戦略策定)
マーケティングオートメーションを使ってどのようなKGI、KPIを策定するかをはじめ、集めた顧客情報をどのように活用するか、リテンションしていくかのシナリオ設計はマーケッターが行う必要性があります。
マーケティングオートメーションを導入する前にシナリオ設計をしていないと、ツールにどのような機能が必要か、そもそもマーケティングオートメーションツールを導入しないで別の施策を行なった方が良いという結論に至るかもしれません。
マーケティング戦略の策定含め、シナリオ設計は一番の腕の見せ所と言えます。
コンテンツ作成
メールを送る際に利用するデザインや広告デザインなどのコンテンツ作成は別で行う必要があります。
最近では過去に流行ったCMのデータをAIに分析させてCMを作ったクロレッツガムや、NTTドコモが提供するecコンシェルのオートクリエイティブのような機能の例がありますので、今後は人が作らなくても良い時代になるかと思いますが、現時点ではマーケティングオートメーションの機能としては一般的に搭載されておりませんので、別途制作する必要があるでしょう。
運用改善
実際にツールを利用してから効果測定を行い、うまくいっている部分ともう少し改善した方が良いなと思われる部分も出てくるはずです。
その際にはなぜうまくいっているのか、なぜうまくいかなかったのかを考えて改善を行う必要があります。ツールで改善案を出す機能がついている場合もありますが、最終的な意思決定については(いまのところ)人が行う必要があります。
ツールが得意な部分は任せて、マーケッターが集中すべき業務を行おう
マーケティングオートメーションを活用することによって、多くの作業部分が自動化することができ、マーケッターは企画や戦略、運用改善に工数を使うことができるのがマーケティングオートメーションツール導入の大きなメリットです。
また、ツールの導入によって早ければ早いほど多くの情報を集めることもできますので、まだ導入前で効果的なデータを集めたい場合には導入の検討をされてみてはいかがでしょうか。
あらかじめ何を目的として、どこを自動化することでマーケティングを効率化していくかを考えておくことで、マーケティングオートメーション導入の成功確率を高めることへ繋げていけると考えられます。