MA(マーケティングオートメーション)を利用してメルマガやOne to Oneメールを配信し、自社のメールマーケティングを強化したいと考えているマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
MAをうまく活用することができれば、メールマーケティングの精度を上げ、見込み顧客を長期的に育成したり、質の良いホットリードを営業に渡すことが可能になります。
一方、典型的な失敗例としてMAを導入してみたものの単なる高価なメルマガ配信ツールになってしまったというケースがあります。マーケティングの全体最適のために導入したツールが、メルマガ配信という部分最適に陥ってしまうのです。
このようなことが起こる原因として、MAを導入する際に目的をよく検討していないことや、目的に合ったツールを選択していないことが挙げられます。
今回は、MAを「高価なメルマガ配信ツール」にしないためにはどうすればよいのか解説します。
まずはMAを導入する目的をしっかりと決めよう
MA市場はここ数年で日本でも着実に拡大しています。しかし、残念ながら全ての企業がMAを最大限に活用できているわけではありません。業務の効率化と売り上げアップを実現した企業がある一方で、高い費用をかけて導入したにもかかわらず活用しきれていない事例も多いのが現実です。
失敗事例に共通してよく見られるのは、MAを導入する目的が不明確だった、もしくは目的を見失ってしまっていることです。
目的が不明確なままMAを導入しても業務の効率化にはなかなか繋がりません。MAを導入するときには、まず自社がどのような課題を抱えており、何のためにMAを導入するのか明らかにしましょう。
また、MAを導入した後も、ツールの導入によって導入前の課題をどれだけ解決できたのか検討し、PDCAサイクルを回すことが重要です。MAが解決することができるのは、たとえば次のような問題です。
・「新規リードの選別がうまくできていない」
・「顧客のニーズに合ったアプローチができていない」
・「商談が成約する確率が高いホットリードのリストを良いタイミングで営業に渡せていない」
・「メールマーケティング運用に人的リソースを割かれている」
・「ECサイトでカゴ落ちなどの個別リターゲティングがフォローできていない」
MAを導入し、最大限に活用するができれば、見込み顧客を漏れなく継続的に管理し、顧客が購買プロセスのどの段階にいるかによって的確なアプローチをすることができます。顧客の興味・関心を把握して、最適なタイミングで最適なコンテンツを見込み顧客に届けることができるのです。
自社のリソースを考えて使いこなせる機能からサービスを選ぶ
MAと言っても、費用や機能はさまざまです。最適なツールを選択するためには、自社のマーケティング部門が抱えている課題を理解し、それを解決するためにどれだけの費用や人的リソースを投入できるかをよく検討しなければいけません。
MAに関わらずIT系のサービスを選ぶときの基準となるのは、自社が持つ人的リソースや金銭的なリソースです。
MAを導入しても、シナリオ設計やコンテンツ作成を自動化することはできません。MAを使ってどのような戦略を実行するかは、従来どおり、マーケティング担当者が行う必要があります。
そのような人材がいないにもかかわらず多機能なMAを導入すれば、機能を持て余してしまうことは明らかです。
もう一つのポイントは、金銭的なリソースです。MAの費用は、基本的に、サービスが多様であればあるほど費用が高くなる傾向にあります。そこで、マーケティング業務の効率化にどれだけ費用をかけられるかもサービスを選ぶときの重要なポイントです。
費用だけでなく、自社ですでに導入しているSFAとの親和性、BtoBとBtoCのどちらで活用したいのかといったポイントも考慮しなければいけません。
他社が使っているという理由でサービスの選定を行うことも一つの方法ではありますが、自社とマーケティング手法が異なる場合も考えられますので、本当に使いこなせそうかどうかを検討してみましょう。
金銭的な余裕がある場合には、設計や運用について外部コンサルなどにお願いすることも選択肢の一つです。その際には丸投げをするのではなく、自社でも知見をためていけるようにしながら共同で行なっていくのがポイントとなります。
場合によってはメール配信システムでも
残念ながらMAは導入しただけでマーケティングのプロセスを自動化してくれる魔法のツールではありません。
見込み顧客にメールを配信して開封率をチェックしたいというだけであれば、高い費用をかけてMAを導入する必要はないかもしれません。
メルマガ配信ツールにもさまざまな種類がありますし、中には多機能なツールもあります。より見やすいHTMLメールを配信したい、ABテストや効果計測をより緻密に行いたいというだけであれば安価なツールでも問題ありません。
目的によってはMAではなくメール配信システムを使用することも検討するべきでしょう。
MAでは見込み顧客の行動履歴、属性、スコアリングといった個別情報を元に最適なコンテンツを配信することが可能となりますので、メール配信システムとの違いをしっかりと把握しておくことも重要です。
費用対効果が高いサービスを選ぼう!
MAをうまく活用すれば、顧客との接点づくりを自動化し、業務を大幅に効率化することも可能です。
ただし、それは社内にツールを適切に運用できるリソースがあることが前提です。特にMAを活用する能力がある人材、あるいはすぐには出来なくてもMAを活用できるようになるためにやる気がある人材がいることは必要不可欠です。
MAには高価なものもあれば安価なものもあります。多額の費用をかけて多機能のMAを導入したのに、社内のリソースが足りず十分に使いこなすことができなければ意味がありません。
逆に、安価ながら事業の規模と比べて低機能なシステムを導入してしまい、管理できるリードの数が少なすぎたり、機能が不十分であっても満足な効果は期待できません。
導入時に気を付けるべきポイントは、現在の課題を考えてからMAを使うことで何がよくなるのかを明確にし、実現するために必要な要素を洗い出すことです。それを行う過程で、自社に最適なツールはおのずと明らかになってくるでしょう。
MAを単なるメルマガ配信ツールにしてしまうのではなく、マーケティングと営業活動を活性化するためにうまく活用することをおすすめいたします。