近年導入企業が増えているマーケティングオートメーションですが、さまざまなツールがあり機能や費用も違います。
利用してみないとどれくらいの効果があるのか見えない部分もあり、自社の予算との兼ね合いもありますのでどのようにしてツールを選ぶかお悩みの方も多いはず。
今回はマーケティングオートメーションを導入する際のポイントを踏まえて、機能と費用の違いについてご説明します。
目次
導入前にマーケティングオートメーションを利用する目的を決める
どのツールを導入するか選択するときにまず確認するべきことは、マーケティングオートメーションを導入する目的です。
特に重要なことはBtoBで利用したいのか、それともBtoCで利用したいのかという点です。
BtoBとBtoCでは見込み顧客の数や購買までのプロセスに大きな違いがあります。
BtoBでは商品、サービスを選定する際には機能、予算、納期など客観的な基準で比較検討が行われ、社内の稟議を経て購買に至ります。購買に至るまでの期間は、数か月から1年以上に至る場合もあります。このように、経済的な合理性に基づいて購買行動がなされるのがBtoBの特徴です。
BtoBにおけるマーケティングオートメーションの目的は、見込み顧客の数を増やし、一定の時間をかけて育成し、商談に繋がりやすい優良な見込み顧客を絞り込み、営業に引き渡すことにあります。
一方、BtoCでは購買者と決裁者は通常同一人物であり、購買の選択の際に趣味や嗜好が大きく反映されます。購買に至るまでの期間は短く、いわゆる「衝動買い」が行われることもあります。
BtoCの場合、多くの見込み顧客に商品やサービスを認知してもらい、興味・関心を引いて初回の購入に誘導し、ブランドや商品・サービスとのエンゲージメントを高め、リピートや紹介をしてくれるような優良顧客に育てるというプロセスを自動化することがマーケティングオートメーションを導入する目的となります。
そのため、ウェブ広告、メール、SNS、LINEなどを連動させたマルチチャネルのマーケティング活動をマーケティングオートメーションで一元管理することが重要になります。
マーケティングオートメーションは1992年に開発されたUnicaというサービスが最初だといわれており、その後1999年に開発されたEloquaというサービスが注目されました。これらはいずれもBtoB向けのサービスでした。
現在でもマーケティングオートメーションと言えばBtoB向けに作られたものが多い印象です。しかし、近年ではBtoC向けに機能を拡張したツールも出てきていますので、自社の業界と目的に合ったマーケティングオートメーションツールを導入することが重要です。
マーケティングオートメーションの機能
BtoBとBtoCでは一部機能が異なる場合がありますが、代表的なマーケティングオートメーションの機能をご紹介いたします。
リード管理
見込み顧客の氏名、性別、役職、過去に行った営業活動やキャンペーン、購入履歴などをまとめて管理する機能です。属性や情報に基づいて最適なマーケティング活動を行います。
キャンペーンマネジメント
リードに対してどのようなタイミングでどのような施策を行うのか、シナリオを作って実行するための機能です。リードが自社の商品・サービスを購買してもらえるようなシナリオを作ることが、マーケティングオートメーションで結果を出すための勘所となります。
スコアリング
ユーザーの行動を数値化するための機能です。
たとえば、「メールを開封した」、「メールの中のリンクを踏んだ」、「サイトで資料をダウンロードした」、「問い合わせをした」といった行動にそれぞれスコアを割り振り、商談が成立する確率や顧客のエンゲージメントの高さを可視化することができます。
キャンペーンマネジメント機能と連携し、一定のスコアになった顧客に対してキャンペーンを打つことも可能です。
メールマーケティング
メールの配信を行う機能です。スコアリング機能、キャンペーンマネジメント機能と連携することで、一定のスコアに達したリードに対して最適な内容のメールを送ることが可能です。一斉メルマガ配信やパーソナルメールまで行うことができます。
アクセス解析
ウェブサイトに訪問したリードの行動を分析する機能です。見込み客のメールアドレスとブラウザのCookie情報を紐づけることにより、見込み顧客ごとにウェブ上での行動を記録し、それに基づいてスコアリングをすることが可能です。
Cookie情報とメールアドレスとを紐づける方法として、メールの中のリンクをクリックして自社のウェブサイトにアクセスしてもらう方法や、会員登録、ログインしてもらう方法などがあります。
ソーシャルマーケティング
Twitter、Facebook、LINEなど、SNS上のマーケティング活動を支援する機能です。BtoCのマーケティングにおいては、ウェブ広告、メール、SNSなど複数のチャネルから見込み顧客にアプローチするマルチチャネルマーケティングが特に重要になります。
マーケティングオートメーションの費用
マーケティングオートメーションはツールによって費用が大きく異なり、月額数万円で使用できるものから、ミニマムでも数十万円かかるものまでさまざまです。また、同じツールでもいくつかのプランが用意されている場合があります。
国内ベンダーのツールでは月額数万円から始められるサービスもあり、弊社サービス「xross data」も月額4万円から開始することが可能です。
一方、海外ベンダーのツールは比較的高額なものも多く、見込み顧客の管理リード数が増えると月額100万円を超えることも珍しくありません。どちらかというとBtoC向けのツールよりもBtoB向けツールの方が高額なケースが多いようです。
また、従量課金制のサービスが多く、「管理できる見込み顧客数」、「メール配信数/配信人数」、「対象サイトへのアクセス数」などでプランが異なってくることが見受けられます。
ツールや費用によって使用できる機能は異なりますので、マーケティングオートメーションを導入する目的と予算に応じて適切なツールを選ぶ必要があります。
多くのマーケティングオートメーションツールは費用を非公開とし、個別の問い合わせに応じる形をとっていますので、気になるサービスがあれば直接お問い合わせなどをしてみましょう。
マーケティングオートメーションの機能と費用の差
一般的には高価なマーケティングオートメーションツールや上位のプランになるほど充実した機能を有している傾向にあります。
本格的にマーケティングオートメーションを導入して運用する目的と体制が整っているのであれば、自社が使う機能が多く含まれている多機能なツールがおすすめです。
まだ会社の規模やサービスの規模が小さい場合や、まずはマーケティングオートメーションの効果測定を行いながら試してみたい場合には、自社で利用する必須の機能が含まれているお手頃なツールから導入検討した方が使いやすいとも言えます。
多機能で高額なツールを使う方が自社にとって費用対効果が出やすいのか、まずはお手頃なツールで試してみたいのかで、どのようなツールが最適なのか異なってくるため自社のフェーズを踏まえてツール選定するのが良いでしょう。
また、BtoCでマーケティングオートメ―ションを使用する場合にはリードの数が膨大になりますので、登録できるリードの上限が多いツールやリード数の従量課金が高額になりすぎないプランで導入することをおすすめいたします。
必ずしも高いツールを選ぶのではなく、自社の目的と合ったツールを選ぼう
マーケティングオートメーションといってもツールによって機能や費用はさまざまなため、導入の目的に合っていないツールを導入してしまうと、せっかく導入したにも関わらず最大限に活用できず、費用対効果が合わなくなってしまいます。
特に失敗例として多いのが多機能なツールを導入してみたものの自社で行いたいのがメールマーケティングだけで高額なメルマガ配信ツールとなってしまったという例や、なんでも自動化できると思って導入してみたがしっかりと運用工数を割いて改善していかないと効果が出なかったという例です。
機能が多いに越したことはありませんが、自社がマーケティングオートメーションを導入する目的を明確にし、費用対効果を踏まえた最適なツールを導入することをお勧めします。