近年ではマーケティングオートメーション(MA)の導入が各社で行われており導入事例も多くなってきました。
今回は日本におけるマーケティングオートメーション市場の最新動向についてご紹介いたします。
目次
マーケティングオートメーションの歴史とは
マーケティングオートメーションの歴史は1992年アメリカのUnica社の提供が最初だと言われており、現在ではIBM社の傘下に入っています。
米国では2000年代から本格的に普及が始まり、日本では2014年頃より徐々に広まり始めてきました。
Googleトレンド で2004年 から2019年末 までを対象として「マーケティングオートメーション」で検索してみたところ、2016年をピークに徐々に減少傾向ではあるものの以前高い水準での検索数であると言えるでしょう。
日本におけるマーケティングオートメーションの市場動向
日本国内でのマーケティングオートメーションにおける市場規模の予測を発表している会社を見ていきましょう。
1社目は矢野経済研究所です。2018年の国内マーケティングオートメーションの市場規模が390億円であったと発表。
市場が拡大している要因としては主に2つを挙げています。
1つ目はユーザー企業側が自社商品の購入前から購買後までのそれぞれのプロセスにおける顧客接点において、顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験を提供し、顧客体験の質の向上に取り組んでいることがあります。
近年特にBtoBでは契約して終わりではなく、契約後のカスタマーサクセスに力を入れている企業が増えていることも注目されます。
2つ目は日本では人口減少により働き手が減り、働き方改革が進められていることを背景に、ユーザー企業内で効率的な営業活動による生産性向上の必要性が高まっていることがあるでしょう。
マーケティングオートメーションと相性の良いサービスとしてweb会議システムがありますが、インサイドセールスを通じてリードナーチャリングを行うためにマーケティングオートメーションのスコアリング機能は欠かせません。
矢野経済研究所 DMP(データマネジメントプラットフォーム)/ MA(マーケティングオートメーション)市場に関する調査を実施(2019年)
2社目はアイ・ティ・アール(ITR)です。
統合型マーケティング支援(マーケティング・オートメーション)は、2016年度の売上金額は107億7,000万円、前年度比60.7%増と大幅な増加となりました。
BtoB向け市場とBtoC向け市場に分類して見ると、2016年度はBtoB向け市場が前年度比56.7%増に対し、BtoC向け市場は同63.1%増となり、BtoCの伸びがBtoBを6.4ポイント上回りました。
2017年度もBtoCがより好調と予測しています。アイ・ティー・アールでは、2021年度のBtoB向け市場は80億円、BtoC向け市場は190億円と予測しています。
また、パッケージ型よりもSaaS(クラウド)型の方が市場規模と成長率が高いという予測も多く聞かれます。
大規模な企業だけではなく、中堅・中小企業の利用増加予測が見て取れると言えるでしょう。
上記2社を比べると、倍以上の差が出ておりどちらが正確かはなんとも言えませんが、市場の成長が見込まれるという点では一致していると考えられます。
日本におけるマーケティングオートメーションの導入動向
続いてマーケティングオートメーションがどのような企業で利用されているのかについての調査結果を見ていきましょう。
Nexalによると対象33.3万社におけるマーケティングオートメション導入数は1,677サイト、国内企業のマーケティングオートメション導入率は0.5%という結果に。
上場企業だけで見ると調査時点の3,654社中、導入数は157サイト、上場企業のマーケティングオートメション導入率は4.3%です。
複数のマーケティングオートメションツールを実装しているケースも多くみられたため、単純積み上げ方式ではなく重複処理を行ったデータとなります。
3年前のデータですので少し古いのですが、まだマーケティングオートメーションの市場拡大余地は十分にあるとも考えられます。
次に、業種別のマーケティングオートメーション導入率の傾向について見ていきましょう。
業種別では、導入企業数全体のうち「情報通信・広告・マスコミ」が31%と最も高く、次いで「製造・機械」が17.9%、「卸売・小売」が11.7%という結果です。
【導入企業全体における業種別MA導入率】
1位:情報通信・広告・マスコミ31.1%
2位:製造・機械17.9%
3位:卸売・小売11.7%
4位:サービス業11.5%
日本における今後のマーケティングオートメーション市場の展望
上述した矢野経済研究所によると今後もマーケティングオートメーション市場は拡大傾向が続き、2024年には市場規模が940億円に成長すると予測が出ています。
顧客体験の質の向上や効率的な営業活動の展開に向け、マーケティングオートメションを利用するユーザー企業数は増加すると見込んでいるようです。
デジタルマーケティング施策の効果をより高めるため、従来のメールやWebコンテンツだけでなく、Web接客やLINEなどの新たなチャネルへの対応ニーズが高まっています。
今後はAIを活用したセグメンテーションの精度向上、より正確な顧客傾向や嗜好の把握、分析の精度向上、顧客の行動予測などがますます活発になるとともに、オンラインとオフラインの融合も加速していくと見られています。
マーケティングオートメションを導入して売上の向上へ
日本でも多くのサイトでマーケティングオートメションツールの導入が行われているかと思いますが、実際には9割以上の企業が導入していないという結果も出ていることから今後の導入増加が予想されます。
また、既に導入している企業でもマーケティングオートメションを利用して効果が出ているかどうかをしっかりと把握した上で、より効果的な施策へと改善していくことが重要です。
マーケティングオートメションのサービスも新しい機能が登場しているものも多く、場合によっては定期的なツールの見直しを行うこともおすすめいたします。