従来マーケティングは営業を中心に新規開拓、既存顧客のアップセルなどを進めてきましたが、業務の効率化や自動化を可能にするツールがマーケティングオートメーションです。
マーケティングオートメーションを導入して成果が出ている会社もあれば、残念ながらあまり効果が出なかったという声も聞かれます。
今回はマーケティングオートメーションの成功事例、失敗事例をご紹介し、今後導入を検討している企業に向けてのヒントにしていただければと思います。
目次
マーケティングオートメーションの成功事例
まずはマーケティングオートメーションを導入したことにより、成果を上げている事例から見ていきましょう。
BtoB企業の場合
BtoB企業がマーケティングオートメーションを取り入れて期待する目的としては「リード育成」、「リードナーチャリング」が挙げられます。
BtoBの事例として、ソフトウェア企業が今後大きく成長していくために、仕組みを効率化し成長できるためのインフラを整えることを目的として、マーケティングオートメ−ションの導入を行いました。
導入前には、まず3カテゴリーあった製品のポジショニングの整理を含めた導入目的の整理、導入ツールの検討などを行い、その後メールキャンペーンなどの小さなテストを開始。
さらにメールキャンペーンからトライエラーを繰り返し、全体のリードナチャリングへの適応を行いました。
その結果有効なリードは200%増加し、その中の80%は自動化プロセスにより得たターゲットです。
大きな成功の鍵は、自社の環境/目的を整理した上で、いきなりすべてを試さず、スモールスタートから開始し、そこからノウハウをためて全体に展開したことといいます。
また、別の会社では新規顧客獲得のチャネルとして展示会への出展やセミナー開催を継続して行ってきましたが、回数を追うごとに来場者の顔ぶれが固定化してしまい費用対効果が悪化してきました。
そこで、オウンドメディアを中心としたインバウンドマーケティングを開始し、マーケティングオートメーションを導入。
インバウンドマーケティングで成果を出すためには定期的なコンテンツ作成と運用が必要になりますが、オンラインでのリード獲得数が約80%アップへと繋がりました。
BtoC企業の場合
BtoC企業がマーケティングオートメーションを取り入れて期待する目的としては「売上の向上」、「顧客単価の向上」、「解約の減少」などが挙げられます。
ECサイトの場合、カゴ落ち対策、ブラウザ放棄対策、商品の再入荷通知、レコメンド商品の送信といった施策が代表的です。
例えばコスメ通販サイトの場合、当日中にカゴ落ちメールを送った際のCVRは15.15%に対して、翌日に送った際にはCVRが2.94%と、5倍以上の差が確認されました。
商品を忘れられないうちに送ることと、他の商品を購入してしまう前に早く送るということが非常に重要だと言えるでしょう。
配信チャネルはメールが一般的ですが、アプリを提供している場合はアプリでのプッシュ通知、最近ではLINEアカウントやWEBプッシュ、SMSで配信する企業も増えてきました。
また、ホテル業界では団体客中心からオンライン予約などが浸透する中で個人客を狙う戦略変更に伴いマーケティングオートメーションを導入。
今まで見えていなかった顧客の傾向が見える化ができるようになることで顧客対応、業務の効率化だけではなく、キャンセル率の低下や顧客満足度向上にも繋がったという例もあります。
このようにマーケティングオートメーションを導入する際に、自社の課題などなぜ導入するのかをしっかり把握した上で、自社に適切な機能を持ったツールを導入する事により成功している事例があります。
マーケティングオートメーションの失敗例
続いて残念ながらマーケテイングオートメーションを導入してもうまくいかなかった失敗例をご紹介します。
機能が複雑すぎる
よくある失敗として挙げられるのが自社が求めている機能と導入した機能とにギャップがある場合です。
マーケティングオートメーションツールには、顧客管理、セグメンテーション、分析、メール配信、システム連携など様々な機能があります。
しかし、例えば自社が本当に必要な機能がメール配信だけであり、導入しているツールとの金額に見合わないといったこと、機能が多すぎて複雑になってしまい運用が難しく利用がされなくなってしまうことが挙げられます。
自社の課題の整理、どのように利用するのかシナリオ整理が出来ていなかった結果に起きやすい事例です。
自社が本当に何を解決したいのかなどを整理することが大事でしょう。
マーケティングオートメーションを使いこなせる人材がいない
上記の多機能すぎて運用が難しいという理由にも近いのですが、マーケティングオートメーションを導入したものの使いこなせる人材がいないといった声もよく聞かれます。
社内にいない場合には外注するか育成することが考えられます。
最初は外注を行うにしても出来ればノウハウを社内に蓄積していくためにも社内で育成できるような計画や体制の構築が望ましいでしょう。
BtoB、BtoCなど自社の状況に合わせた施策になっていない
マーケティングオートメ−ションは業務を自動化・効率化のためのツールですが、すべてが自動化されるわけではありません。
どんな顧客をどんな風に狙うのか、その際のコンテンツはどんなものなのかなどの設計は別で検討しなければなりません。
よくある事例としては、BtoBの事業なのに、BtoC向けのマーケティングオートメーションツールを導入して施策を実施してしまっていることがあります。
BtoBの場合、BtoCとは違い興味関心、比較検討、社内稟議などリードタイムが長いため、直接購入につながるBtoCとは必要な機能も違います。
自社の状況に合わせた目的と施策がしっかり検討出来ていない場合、マーケティングオートメ−ションの導入が失敗と言われることが多いです。
代表的な失敗事例をご紹介しましたが、多くは自社でどのように活用するかの整理ができておらず、先立って導入をしてしまうなどにより思ったような成果を上げることが出来ていないケースが多く見られます。
マーケティングオートメーションの活用を成功に導くポイント
マーケティングオートメーションを成功させるためにはどのようなことに気をつけたら良いのか見ていきましょう。
目的を決める
まずはマーケティングオートメーションを導入する目的をしっかりと定めましょう。
目的に合うツールの選定にも繋がりますし、場合によってはマーケティングオートメーション以外のツールの方が効果的なこともあるかもしれません。
ターゲットに合わせたコンテンツを準備
BtoBの見込み客の増加を狙うのであれば、対象となるターゲットを惹きつけるコンテンツを準備することが重要です。
メールのコンテンツはもちろん、記事コンテンツやホワイトペーパーなどを作成し、接触回数を増やしてスコアリングを高めていきましょう。
ターゲットに合わせたタイミングで通知
特にBtoCの場合にはターゲットに合わせたコンテンツだけではなく配信する時間帯も重要となります。
一般的には出勤前、お昼の休憩、仕事帰りの夜が効果的と言われておりますが、他の会社からも多くのメールや通知が来るため、埋もれてしまわないように注意が必要です。
結果を分析し改善する
マーケティングオートメーションの精度を上げ成功率を高めるために、設定したマーケティングの方法が期待通りに機能しているかを確認することも大切です。
特にマーケティングオートメーションの導入初期は、見込み客数は増加しているか、メールは開封されているか、売り上げは伸びているかなど、データを細かくチェックしながらアプローチの方法を工夫・改善するようにしましよう。
導入前の準備を行ってから導入がおすすめ
マーケティングオートメーションの成功事例、失敗事例をご紹介しましたが、マーケティングオートメ−ションは業務を改善、効率するためのツールであり、導入することにより大きな成果を上げる可能性があります。
しかし、そのためにはまず自社の状況の整理、導入することにより得たい成果の想定、顧客にどのような流れを期待しているのかなどの準備が重要です。
また、導入する上で自社内のシステムとの連携や新しいシステムへの慣れ、どのような結果が得られるのかの想定などを検討するためにも運用改善を繰り返しながら全体のシステムへの適用を検討することも効果的です。
弊社ではツールのご紹介だけではなく、導入前の準備段階からのご相談も可能ですのでご相談いただければと思います。