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どのくらい効果があるの?カゴ落ち施策の実態を解説

 

2017年頃からはじまったカゴ落ちメールマーケティング施策。ツールベンダーはこぞってカゴ落ち施策対応機能をリリースし、EC事業者も一般的なメルマガよりもCVRが高いと言われるカゴ落ち施策を積極的に採用しました。

3年後の今、自社ECサイトでカゴ落ち施策を実施していないECサイトは少数派になった印象がありますが、果たしてカゴ落ち施策は本当にEC事業者が期待するだけの効果を挙げているのでしょうか。

 

今回はxross dataの事例を元に解説いたします。

 

 

カゴ落ち施策とは?

はじめにカゴ落ち(カート放棄)とはどのようなメールマーケティング施策であるかを解説します。

 

カゴ落ち施策は、ユーザーがカートに商品を投入した後、一定期間購入していない状態を検知してメールでリマインドするメールマーケティング手法です。

一般的な全配信のメルマガと異なり、ユーザーに届けるメッセージの中にユーザーがカートに投入した商品を掲載することができるので、One to Oneコミュニケーションができるリテンションマーケティングとして人気を博しています。

 

参考記事:カゴ落ちメールの効果的な運用手法とは?

 

多岐にわたるリテンション施策

リテンション施策とは、EC事業者によって行われる既存顧客の離脱防止策のことです。

事業に利益をもたらす優良な顧客を育成し、自社ECサイトや商品に対するエンゲージメント(親近感や愛着)を高めることで良好な関係を維持して長く取引頂くことを目的とした施策です。

新規獲得コストを100とした場合、既存顧客のリテンションコストは20程度とされており、小さな投資でリターンを得ることができるのもリテンション施策の特徴です。

 

しかしリテンション施策は、顧客の育成レベル・状況によってセグメントごとに目的と狙いに則したものでなければならず、実施内容はとても多岐に渡ります。

 

 

新たな施策を実行する場合、施策コストや運用負荷が掛かります。 そのため、現在のリテンション課題から取り組みの優先順位を設け、少しずつ効率的にPDCAを回していくことが成功への秘訣といえます。

 

カゴ落ちは即効性のあるリテンション施策

リテンション施策の中でも即効性があって効果が高いとされているのが、図表の赤枠で括られた既存顧客で且つアクティブな会員に対するメールマーケティング施策で、代表的なものは以下の通りです。

 

リターゲティング訴求

カゴ落ちリマインド

(カート放棄施策)

カートに残存している商品をリマインドする。
お気に入りリマインド

(お気に入り放棄施策)

お気に入り登録後、購入していない商品をリマインドする
商品閲覧履歴リマインド

(ブラウザ放棄施策)

商品を閲覧したが購入していない商品をリマインドする

 

アラート訴求

在庫切れ直前アラート カゴ落ちやお気に入り放棄、ブラウザ放棄のリマインドを時間ではなく在庫数の状況に応じてリマインドする。
再入荷アラート カゴ落ちやお気に入り放棄、再入荷通知希望をしたユーザーに、在庫数が0以上になったタイミングで通知する。
値下げアラート カゴ落ちやお気に入り放棄、ブラウザ放棄したユーザーに値下げした商品情報をトリガーに通知する。
新着お知らせ 購入経験のあるブランドや商品カテゴリの新商品発売タイミングに合わせてお知らせを通知する。

 

アラート訴求は商品マスター連携が必要となるため導入障壁が少し高くなりますが、リターゲティング訴求もアラート訴求も、ユーザーの行動ログが存在していることが前提で、ECサイトにアクセスして活動しているアクティブな会員に対する施策という位置づけです。

 

その中でも、カゴ落ちメールが注目された理由は、複雑なシステム連携をしなくても比較的容易に実装できることに加え、ユーザーの購入に対するモチベーションが顕在化されていることにあります。

 

 

購入意欲の高まっているユーザーにタイミングよくリマインドすることで、購入意欲をより一層刺激することを可能にするのがカゴ落ちメールです。

 

カゴ落ち施策の効果の程は?

xross dataでも、ECサイトで実施すべき施策としてカゴ落ち施策を推奨していますし、ツールベンダー各社が発表している事例でも、カゴ落ち施策は効果が高いとされています。

 

xross data事例

業種 カゴ落ち施策内容 対メルマガCVR比較
アパレル カゴ落ち1時間後 4.5倍
コスメ カゴ落ち2時間後 1.6倍
カタログ通販 カゴ落ち翌日 2.5倍

 

実際にxross dataを利用しているECサイトの事例でも、通常の全配信メルマガと比較した場合にCVRが高く、やはりカゴ落ち施策は効果が高いといえます。

 

しかし、これはKPIとしてカゴ落ち施策のCVRをみた場合であって、KGIである売上金額にどの程度貢献しているのでしょうか。

 

自社のカート投入数を把握すべし

意識しておかなければならないのは、ECサイトにおける行動ファネルです。

左図のように、ユーザーはECサイトに訪問して商品を物色し、購入したいと感じた商品をカートに入れて、購入フローを経て購入します。

検索エンジンで検索して流入するユーザーが多くを占める場合は、訪問≒商品閲覧になるので、商品閲覧が大多数になるかも知れません。

商品閲覧≒カート投入になるECサイトはほとんどないと思いますので、カート投入操作をするユーザーは少数というのが一般的かと思います。

 

 

 

とあるアパレルECサイトの1ヶ月間のファネル分析

 

 

この図は、とあるアパレルECでの1ヶ月間のアクションファネル分析の結果です。

各アクションに表示される割合は、直前のアクションに対する遷移割合となっていますので、分かり安くするために対訪問で算出した数値が下の表になります。

 

ゲスト含むアクションファネル

行動 セッション数 対訪問割合
訪問 534,866 100.0%
商品閲覧 312,643 58.5%
カートに投入 33,044 6.2%
購入完了 6,904 1.3%

 

訪問してカート投入操作を実施するユーザーは6.2%。これはゲストも含む数値です。

ゲストユーザーと、メールパーミッションを取得していない会員にはカゴ落ちメールは配信できないため、会員且つメール配信のパーミッションを取得しているユーザーでフィルタリングすると下の表になります。

 

会員でメール配信OKのユーザーのアクションファネル

行動 セッション数 対訪問割合
訪問 24,160 100%
商品閲覧 15,466 64.0%
カートに投入 2,496 10.3%
購入完了 324 1.3%

 

メールでアプローチできるカートに投入アクションを実施したユーザーがかなり減りました。カゴ落ち施策は、購入したユーザーは省きますので、さらに対象人数が減少します。

 

カゴ落ち施策の実態を知る

では、このアパレルECを事例としてカゴ落ち施策の実態をみてみましょう。

※実際の数値を出すことができないため数値は丸めていますが、実数と近い数字でご協力頂いています。

 

ECサイトの月間売上情報を母数として、メールマーケティング全体、カゴ落ちメール、ブラウザ放棄メールで比較しています。

 

ECサイトの基本スペック(月間)

売上 1.5億円
平均購入単価 12,500円
購入件数 10,000件
購入率 2.0%

(対訪問数・ゲスト含む)

 

 

メールマーケティングの月間効果測定値(参考)

メール全体 ブラウザ放棄 カゴ落ち
配信数 2,000,000 25,000 5,900
開封率 9.9% 19.4% 25.3%
クリック率 1.3% 5.5% 6.2%
対配信購入率 0.1% 0.4% 0.9%
対クリック購入率 5.7% 6.7% 14.0%
売上金額 ¥12,000,000 ¥1,000,000 ¥450,000
対メール売上割合 100% 8.3% 3.8%
対全体売上割合 8.0% 0.7% 0.3%

 

この表が示すように、カゴ落ち施策は開封率、クリック率、対配信数の購入率、対クリックの購入率といったKPIではメールマーケティング全体、ブラウザ放棄と比べて高い数値をたたき出しています。

しかしながら、メールマーケティング全体の売上金額やECサイト全体の売上金額に比べると、売上貢献度は大きくないといえます。

 

カゴ落ちの計算式

この売上規模とセッション数でカゴ落ち施策からの売上となりますが、自社ECサイトでカゴ落ち施策を実施した場合にどの程度の売上が期待できるでしょうか?

カゴ落ち施策で見込める効果は、以下の計算式で大凡の金額を算出することができます。

 

(カートに投入した会員数- 購入した会員数) × 会員数のうちメールパーミッション取得率 × 平均購入単価

 

Googleアナリティクス等のアクセス解析ツールで、カート投入数を計測していること、”会員”でセグメントできることが条件となりますが、もしこれら数字を取れない場合は、感覚値で算出するかxross dataなど、これら情報をトラッキングできるツールの導入を検討してみてください。

 

費用対効果を考える

計算式を自社ECサイトに当てはめた場合、サイト訪問者数、売上規模、平均購買単価が小さくてツール代をペイする程の売上が期待できないと考える担当者も多いことでしょう。

 

では、カゴ落ち施策はやらない方が良いのでしょうか?

 

答えはNOです。アクティブな会員に対するリターゲティング訴求・アラート訴求の施策は、メルマガのように1本1本クリエイティブを考える必要がなく、一度テンプレートをセットすれば永久的且つ自動的に配信できるため手間が掛からないというメリットがあります。

 

必要なのは、カゴ落ち専門ツールやリターゲティング訴求専門ツールが提供する施策だけでなく、メルマガ(一斉配信やセグメント配信)、ステップメール、その他、ポイントメールや掘り起こしメールなど、上述したような多岐に渡るリテンション施策が実施できるツールに一本化することです。

 

EC事業者によっては、メルマガ配信はこちらのツール、カゴ落ちメールはこのツール、はたまたLINE配信はこっちのツールでSMSはあっちのツールなど、施策やチャネルによって異なるツールを採用している状況が多く見られます。ツールが分散すると連携が複雑になることに加えて各ツールの利用料だけが積み上がって高コストになる傾向にありますので、実施したいリテンション施策への対応可否に加えて多様なチャネルへの配信ができることもツール採用の要件として加えた方がよいでしょう。

 

 

xross dataは、メール、LINE、WEBプッシュ、SMS、DM(他社サービス連携)の配信チャネルを持ち、かつほぼすべてのリテンション施策に対応しています。

上述したアパレルECのお客様では、メール、LINE、WEBプッシュ、SMSの全チャネルを使ってリテンション施策を実施しており、月額利用料も他社ツールと比較して半値程度に抑えて運営されています。

 

他社ツールからの乗り換えプランもご用意しておりますので、xross dataにご興味のある方は、是非お問い合わせください。

 

 

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カテゴリー: カゴ落ち, コミュニケーション, サービス, マーケティング, マーケティングオートメーション, メール