MA(マーケティングオートメーション)の導入が増えている中、社内の部門移動や担当者が退職する際にやっておくこととして引き継ぎ業務があります。
担当者が変わるときにしっかり業務を引き継ぐことができないと、以前より悪い状況に陥ってしまうことも考えられるでしょう。
今回はMAの担当を引き継ぐ際に行っておきたいことについてご紹介いたします。
目次
MAの引き継ぎが重要なわけとは
MAに限らずどのようなマーケティング業務でも引き継ぎはありますし、マーケティング業務以外の部門でも引継ぎは必ず発生する問題です。
優秀なマーケターが退職したり異動したりすれば、その仕事を引き継ぐ後任者は苦労することが予想されます。
MAにおける担当引き継ぎ問題が重要な理由としては、比較的新しいマーケティング手法であるためMAの経験者はそれほど多く存在しません。
しかもMAの業務はかなり複雑になっている場合も見受けられます。
BtoCであれば直接売り上げに影響を与えるようなシナリオ設計やコンテンツ配信を設定しているでしょうし、BtoBであればリードナーチャリング(顧客育成)をしっかりと行って優良見込み客を営業へ引き渡す設計がされていることでしょう。
前任者がしっかり引き継がないと、後任者は同じパフォーマンスを出せないかもしれません。
MA担当者の業務を洗い出してみよう
MAの前任者の仕事を引き継ぐには、MA担当者の業務を知っておかなければなりません。
MAでは、次のような業務を自動化していることが多いです。
- 顧客情報を一元管理する
- 購買履歴を含む顧客情報を詳細かつ大量に収集する
- 顧客情報を分析する
- 顧客を、購買意欲の強さやロイヤリティの強さに応じて選別する
- 見込み客を育成する
- 見込み客が求める情報を提供する
- ロイヤリティが強い顧客が求める情報を提供する
- 自社の営業担当者の業務を効率化できる、質の高い顧客リストをつくる
- 購買意欲が高まった顧客を営業担当者に回す
- 顧客に対して、メール、SNS、サイトといったデジタルチャネルでアプローチする
- 企画したマーケティング・キャンペーンを実行する
上記はMA業務の一部ですが、それでもこれだけの種類があります。
しかもMAではこれらの仕事をオートメーション化している、つまり自動化、省力化しているので、少人数でこなしていることが多いです。
続いて具体的にMAの担当を引き継ぐ際にすべきことを見ていきましょう。
経営者や上司が業務を知っておく
MAにおいては、前担当者から新担当者に「だけ」業務を引き継ぐのは望ましくありません。
MA担当者の上司や部門長が引き継ぎをある程度仕切ることが望ましいです。
それほど大きな規模でない企業であれば、経営者が引継ぎを仕切ってもよいでしょう。
理由としては担当者が変更してしまうとまた同じ問題が発生してしまうこと、MAは自社のマーケティングの核になっているか、将来的に核になることも予想されるからです。
ところが、MAに関しては担当者に丸投げしてしまう上司や経営者は少なくありません。
マーケティングに携わっている関係者複数人のチームで引き継ぎを行っておくと今後も引き継ぎ業務が発生した場合でもスムーズに進められると思います。
MAにおける業務の見える化を行っておく
MA業務は中堅以下の企業であれば、担当者が1人しかいない状態も多いです。
MAを導入するメリットには、マーケティングの高度化だけでなく、省力化や省人化、人件費の抑制なども含まれるので、ワンオペは悪いことではありません。
しかし、ワンオペは往々にして、業務のブラックボックス化という弊害を生みます。
MAを効率的に利用すればするほど、担当者しかわからない複雑な設定や設計になってしまっているかもしれません。
引き継ぎを行う際にまずはMAにおける業務の見える化を行っておきましょう。
どの会社のサービスを使っているか把握しておく
企業の規模にもよりますが、もし担当部門長や上司が自社で使っているMAのサービスや提供会社を知らない場合、ブラックボックス化がかなり進んでいるかもしれません。
MAは最初に設定を行って終わりではなく、細かい機能のアップデートや頻繁な更新が重要になるので、MAの会社の担当者と二人三脚で取り組まなければならないこともあります。
その場合にどの担当者に相談をすれば良いのか確認をしておきましょう。
サービスについて把握しておく
上記でどこの会社のサービスを利用しているかがわかったらサービスの仕様や詳細について把握しておきましょう。
例えば以下のようなことが挙げられます。
- 使っているシステムは、パッケージ型かクラウド型か
- 顧客データの保管場所
- 顧客データなどのセキュリティ状態
- MAと連携している他のサービスの有無
- 費用間と契約の更新時期
- etc…
運用方法について把握しておく
MAの会社とサービスについて把握した後には具体的な運用方法について見ていきましょう。
- MA担当者が重視しているKPI(重要業務評価指標)
- シナリオ設定の把握
- PDCAの流れ
- コンテンツ設定の把握
- 見直しのタイミング時期
- 見直す際の更新方法
などが挙げられます。
現状行っている施策を把握した後に、運用方法について確認をしてみましょう。
引継ぎに1カ月は見ておく
MA業務の引継ぎには、全く今までMAを運用していなかった方の場合、最低でも1カ月程度は見ておいた方が良いと思います。
できれば前任者と一緒にしばらくの間は運用を一緒にやりながら引き継ぎを行うことができればスムーズに行くでしょう。
前任者が退職を行ってしまい時間がない場合には前任者に業務マニュアルを作ってもらうことも重要です。
マニュアルがあれば今後別の方にお願いする際にも使うこともできますので、少し時間はかかるかもしれませんができれば作成しておくことがおすすめです。
MAの引き継ぎを行う際には現状よりもプラスになることを目指そう
MAをうまく利用することができれば、自動化できるマーケティング業務が増え、効率化と生産性の向上が期待できます。
しかし、MAのメリットは、現担当者の異動や退職によって上手く引き継げないことも少なくありません。
もしMA業務が既にブラックボックス化している場合、引継ぎを機会に見える化を行っておきましょう。
MAの運用があまり上手くいっていなく陳腐化している場合には、担当者の引継ぎの際に一新するチャンスでもあります。
運用の見直しを行うことやMAのサービスを見直してみて、現在よりもさらに効率的な使い方にチャレンジしてみましょう。