2023年よりiOS 16とSafari 16でWebプッシュ通知に対応いたします。
前回に続いてWebプッシュの可能性について考えていきましょう。
前編では主にその基本的な機能や効果の期待できそうな利用シーンなどについて触れてきましたが、後編では逆に気を付けないといけない注意点や、メール配信などと比較した場合のデメリットとなる点について触れてた上で、総括として、さまざまなマーケティング施策の中での位置付けなどについて触れていきたいと思います。
Webプッシュ通知の注意点とデメリット
前回はWebプッシュ通知のメリットや使い方についてご案内してきましたが、ここでは注意点やデメリットについて3点ほど触れておきたいと思います。
まず1つ目にWebプッシュ通知は表現力が低いという点が挙げられます。
スマートフォンの待ち受け画面に届いたプッシュ通知を見たことがある方は多いと思いますが、プッシュ通知には30文字程度のタイトル、100文字程度の内容、アイキャッチとなる画像と、クリック時の遷移先となるリンクが1つずつという制限があるため、凝ったデザインや内容を送ることは出来ません。
提供したい情報の詳細は遷移先のWebサイトに用意しておく必要があり、Webプッシュ通知の目的は、あくまでそのページへの誘導になります。
そのため、Webプッシュ通知単体で施策を行うのではなく、Webサイトの運用とリンクする形で考えていく必要があります。
この辺は、情報量やデザイン性の自由な幅が広く、内容によっては開封数を中間KPIに設定できるメール配信とは異なり、その効果をサイトへの流入数(CTR)やコンバージョン率でしか測れないというシビアさもあります。
2つ目にWebプッシュ通知は通知許可のハードルが高いという点があります。
主にニュースサイトなどのWebサイトを回遊している時に「Webプッシュ通知が送られまでの流れ」に掲載した通知許可を求める案内を見たことがある方も多いと思いますが、許可したことがあるというケースは少ないのではないでしょうか。
Webサイトを読むのに邪魔にならなければ無視してしまったり、邪魔だからといってブロックしてしまったりした方が多いのではないかと思います。
そのため実際にWebプッシュ通知を配信できるのは、Webサイト来訪者のうちのほんの一部の「自社への関心が高い層」に限られます。
従って、広告のように潜在層へ幅広くリーチしていくような内容では、なかなか通知の許諾が取れません。
Webサイト上の情報をユーザーの興味関心に合わせて運営していくことと同時に、許諾を取る際の文言なども関心が高い層にとって有益な情報を届けるということが伝わるものでなくてはなりません。
最後、3つ目に送り過ぎると嫌われるという点があります。
仕事中に何度も何度も通知が来るアプリを耳障りに感じたことや、その内容が興味のない内容でイラッとしたことはありませんでしょうか。
通知の送られるタイミングや頻度だけでなく、内容と興味関心のズレや、「Webサイトに新着コンテンツが公開されました」のような、そもそも通知から要点が分からないものなどを送っていると、ユーザーのストレスを溜めることに繋がります。
そのため、「Webプッシュ通知の効果が見込まれる利用シーン」でECサイトの事例で記載させていただきましたが、ユーザーが見たことのある在庫切れ商品が再入荷した時に通知させるなどの、ユーザーの情報ニーズと乖離しない内容をピンポイントで送るような形の運用を心がける必要があります。
マーケティング上のWebプッシュ通知の位置付け・役割について
前後編に渡って基本的な内容からメリット・デメリットまでを記載させていただきましたが、最後にWebプッシュ通知のマーケティング上の位置付けを記載させていただきます。
改めてWebプッシュ通知の配信可能な対象のおさらいをすると、
- Webサイトへの訪問がある
- Webサイト訪問時に通知の許諾をしている
というユーザーがターゲットになりますので、マーケティングファネルでは図表の赤枠の位置に該当します。
広告やSEOなどで露出を増やしてWebサイトへの来訪者を増やすフェーズと、個人情報を獲得して1to1マーケティングを実施するフェーズの中間にある「つなぎ・つながり」を埋める位置付けです。
ユーザーとしては、全く興味がない訳ではないがまだ資料請求や登録などの個人情報の提供はしたくないという段階で、安心して有益な情報のギフトを貰えるチャネルであり、企業にとっては広告や集客施策によって集めたユーザーを見込み顧客に転換するための、直接的な手段となりますので、リードジェネレーションとリードナーチャリングの中間的な役割を担っているとも考えられます。
また、似たような名前のWeb接客との違いについて触れておきますと、Web接客がWebサイト来訪中のCXを最大化するのに対して、Webプッシュ通知はWebサイト離脱後のユーザーのデバイスにアプローチできるという違いがあります。
そのため、この両者を併用して、Web接客によってWebサイト内の体験を高めて、ユーザーの記憶に残りやすくすると共に、Webプッシュ通知によって認知切れの予防や再訪問の促進を促すといった相乗効果も生むような使い方も考えられます。
Webプッシュ通知を活用し円滑なコミュニケーションを
マーケティングと一口に言っても、その対象範囲は幅広く、広告による集客、Webサイトの運用、リードへのアプローチが分断されてしまって、トータルで絵を描き切れていないというお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような企業様にとっては、リードジェネレーションとリードナーチャリングの中間的な位置付けのWebプッシュ通知が、マーケティングを考える上での思考の「ハブ」となってトータルで実戦するためのきっかけとなるかもしれません。
HIRAMEKI XDでは1カ月間の無料トライアルがあり、トライアル期間中はWebプッシュ通知を無料でお試しいただくことができます。iOSの対応後、利活用が拡大すると予想されるWebプッシュ通知を試してみたいという方は、是非、無料トライアルのお申込み、またはお問い合わせを下さい。