MAツールを導入した企業ではメールマーケティングの他にも様々な条件でメールマーケティングを実施して効果を高めていきたいと考えている担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、MAツールで実現できるメールマーケティングのなかでも中心的な「シナリオメール」の設計方法と効果を高めるポイントについてご紹介いたします。
目次
シナリオメールとは
シナリオメールとは、ユーザーの行動を起点として、あらかじめ設定したシナリオ(条件)に沿ってメールが自動で配信されるメールマーケティング手法の一つです。
例えば、商談で名刺を交換した人を商品・サービスの契約まで誘導するといったシナリオでメールを配信するケースを考えてみましょう。
この場合、まずはメールマガジンの配信先として名刺交換した人を登録します。配信されたメールマガジンを開いてリンクからサイトに遷移したユーザーについてはcookie(クッキー)情報をMAツールは取得できます。これによりMAツールはユーザーのウェブサイト上での行動を追跡することができるようになります。
ユーザーが自社のウェブサイトの商品情報のページなどにアクセスすると、MAツールは閲覧したページや回数によってユーザーにスコアを割り振っていきます。一定のスコアに到達した時点で、次のシナリオにセットされている自社のサービスの活用事例に関するメールを送付します。
さらに、そのメールの中に商品の詳細情報が掲載された資料のダウンロードフォームへのリンクを埋め込み、ダウンロードしたユーザーには、翌日にまた別のメールを送り商品の体験イベントの案内を送付するといったことを行います。
このようにユーザーの検討度を推し量るシナリオを複数組んでいくことで、各チェックポイントでコンバージョンの確率が高いユーザーに対して、最適なタイミングを見計らって適切な情報を提供することができます。
シナリオメールは多くのMAツールに機能が備わっており、メール配信システムとの違いと言えるかもしれません。
シナリオメールのメリットとは
次に、シナリオメールのメリットについて見ていきましょう。
シナリオメールはユーザーの行動に基づいてメールを配信するため、配信の過程で購買に繋がる可能性が低いユーザーとホットリードを振り分けることができます。
例えば、自社の商品・サービスに関心があるユーザーに対して段階的に情報を提供し、購買の確度の高いリードを営業部門に引き継いでセールスを行ってもらうという活用方法が多いです。
また、MAツールを活用してシナリオメールを配信し、顧客関係管理(CRM)システムと連携させることによって、顧客情報と自社との関係性の強さに関する情報を一元化して社内で共有することもできます。
そのため、シナリオメールはユーザーが長期間にわたって慎重に比較検討を行うような商品・サービスを商材としている場合や、マーケティング部門と営業部門が連携して顧客との関係構築を進めていく必要がある場合などに向いています。
一方、シナリオメールにはシナリオ設計に時間と手間がかかるというデメリットもありますので、メールによって見込める利益が小さい場合には向いていないかもしれません。
シナリオメールでは全てのメールが配信されるとは限りませんので、一通で内容が完結しない、いわゆる「シリーズもの」のメールを配信したい場合にはステップメールを利用しましょう。
シナリオメールが成果向上につながりやすい企業
シナリオメールは様々な業種でも活用が可能ですが、以下に該当する企業がより成果向上につながりやすいと考えられます。
ステップメールを既に実施している企業
ステップメールを既に実施していてある程度効果が出ている企業も成果向上につながりやすいと言えるでしょう。
ステップメール配信の起点である日付に加えて、メール配信後の開封やクリック、サイトアクセスなどのユーザー行動を元にシナリオを用意しておくことで、ステップメールの更なる効果改善が見込めます。
商材の単価が高額な企業
シナリオメールの利用を検討すべき業種としてはBtoBビジネス、BtoCでは自動車、不動産、金融、保険などの高額商品を扱うケースが考えられます。
メールの反応率を高めるために顧客の行動や条件にあわせてメールを配信することがより重要となります。
顧客育成や顧客引き上げを強化したい企業
資料請求や無料お試し期間、トライアル購入などからの引き上げ、2回目購入など、初回のアクションから次のゴールが明確な場合はシナリオメールの効果が発揮しやすいです。
シナリオメールの設計方法と効果を高めるポイントについて
続いて、シナリオメールの設計方法と効果を高めるポイントについて見ていきましょう。
目的を明確にする
まず、シナリオ設計で重要なポイントは達成すべき目標を明確にすることです。
BtoB企業の場合には「営業がアプローチする対象の確度が高いユーザーの育成、発見、絞り込み」
ECサイトの場合には「初回お試し購入客の2回目購入へと引き上げ」
といったような目的を設定し、そのためにはどのような設計が必要なのかを考えていきましょう。
「誰に」、「いつ」、「何を」を送るかを設計する
シナリオの目的を決めた後は具体的なシナリオ設計に入っていきます。
シナリオ設計の方法は様々ありますが、まずは「誰に」、「いつ」、「何を」送るかを考えてみましょう。
ステップメールを既に実施している企業であれば同じような考え方でシナリオ設計を行えるのではないでしょうか。
- 「誰に」
シナリオメールのターゲットを誰にするのかを決めましょう。
こちらは、ステップメールとは違ってよりターゲットユーザーを細かく設定した方が効果的になりやすいです。
例えば
- 特定の商品、サービスのページを複数回閲覧しており、対象商品に興味関心が高いユーザー
- 費用ページを閲覧している回数が多く、検討段階で他社と比較中のユーザー
といったように考えることもできます。
- 「いつ」
ターゲットユーザーの行動に合わせてタイミングを設計します。
例えば
- 商品のお届けタイミングに合わせてメールを届くようにする。
- サイト閲覧が高いユーザーには間をあけずに連日メールを届くようにする。
といったことが挙げられます。
- 「何を」
ユーザーの興味関心や確度に合わせて最適なコンテンツを届けるようにしましょう。
例えば
- 検討度が高いユーザーにはホワイトペーパーのダウンロードやセミナー参加のコンテンツを送る。
- 特定の商品、サービスのページを複数回閲覧しているユーザーにSALEの始まったタイミングでコンテンツを送る。
といったことが挙げられます。
MAツールを導入したらシナリオメール設計を行い効果を高めてみよう
MAツールを導入している企業ではシナリオメールの設計や設定を既に行っている場合も多いと思いますが、同じシナリオ設計をしばらく行っていると効果が下がってくることも見受けられるため、一度設計を行って終わりではなく運用を通じて改善を行っていくことがおすすめです。
同じ担当者だけで考えると似たような設計になってしまうことも多いため、できれば複数人でアイディアを出し合いながらシナリオを決めていくようにしましょう。