引用:mautic.com
日本でも2012年頃から普及が始まっているマーケティングオートメーション。
大手企業を中心に、現在では中小企業でも活用が広まりつつあると言えるのではないでしょうか。
マーケティングオートメーションと言えば、大手ソフトウェアベンダーの高機能なサービスから専業メーカーによる特化型サービスなど市場の広がりを受けてサービスの種類も増加傾向にあります。
その中で「 Mautic 」というオープンソースソフトウェア(OSS)のマーケティングオートメーションがあるのはご存知でしょうか。
日本ではまだ馴染みの薄いMauticについてご紹介させていただきます。
目次
Mautic について
Mautic(マウティック)とは、David Hurleyさんらが創業したアメリカのMauticが提供しています。
Mauticは、オープンソースのマーケティングオートメーションツールでクラウドでもオンプレミスでも導入可能な点が特徴のサービスと言えるでしょう。主にPHPで実装されているようでオンプレスミスの場合にはPHP、MySQL、cronが使えるサーバが必要です。
参考:mautic.com
オンプレミスは無料ですがクラウドは完全無料ではなく、作成できるリード数が5,000人までとメールが1日1,000通までの制限があり、それ以上は1ヶ月あたり100ドルのプランとなっております。
出所:Mautic Price
Mauticの有料プランと無料プランの主な違い
- メールと管理数制限がなくなる
- サポート対応(基本は英語)
- SFAやCRMなど他システムとの連携
上述の価格表から分かる通り、メールと管理数の制限がなくなりますので、顧客情報数が多い企業では有料プランを利用されるケースが多いのではないでしょうか。また、Mauticの無料プランはサポート対象外となっていますが、有料プランであれば英語でのサポートを受けることができます。さらに、SFAやCRMなどと連携することによって、機能拡張や顧客情報の一元化なども可能になります。
Mautic の機能について
Mauticの気になる機能面に関してですが、顧客管理、Webアクセスログ履歴、メール、ランディングページ作成、キャンペーン管理、レポート分析機能などが搭載されています。どちらかというと、BtoBを行なっている企業に合ったマーケティングオートメーションと言えそうです。
出来ること
- リードナーチャリング
- キャンペーン、ランディングページ作成
- サイトログトラッキング
- 顧客分析
- リテンション施策
Mautic 主な機能
モニタリング
Webサイトなどで訪問者をトラッキングできます。
リード管理機能
既存顧客(リード情報を持っているユーザー)とゲストの2つのタイプのリードを管理できます。
スコアリング(ポイント)機能
顧客スコアリングのことをMauticではポイントと呼んでおり、スコアリング管理と分析ができます。
キャンペーン機能
リードを育ていくために、時間とログやCRM情報を元にキャンペーンを実施することができます。
メール機能
Mauticとメールプロバイダサービスを連携させることで、メールログがリード情報として記録されます。
フォーム機能
フォームから入力された情報により、リード情報の更新とポイント付与ができます。
ランディングページ機能
ランディングページを作成してキャンペーンを行うこともできます。
アセット機能
ホワイトペーパーや動画視聴などの統計情報をトラッキングできます。
ソーシャルメディア連携機能
FacebookやTwitterなど連携用APIを提供しているSNS連携から情報配信やリードの反応を見ることができます。
レポート機能
管理画面から各種レポート情報を見ることができます。
その他参考になるサイト:ローンチ島
オープンソースのメリットとデメリット
Mauticのようなマーケティングオートメーションに限らず、オープンソースのサービスは数多く存在します。有名なオープンソースといえばLinuxやwordpressを思い浮かべる方も多いでしょうし、日本企業で有名なのはロックオン社が提供しているEC-QUBEも挙げられるでしょう。
オープンソースを利用するメリット
- 無料で利用できる(オプションなど一部有料の場合もあり)
- ソースコードが入手できる
- カスタマイズを行いやすい
- 有名なオープンソースの場合、プラグインやカスタマイズの記事などが豊富
オープンソースを利用する場合に、まず思い浮かぶメリットとしては無料で利用できることでしょう。そのため、気軽に始めてみることができるので、特に中小規模の会社にとってはテストマーケティングも兼ねてまずは試してみようと導入してみるケースも多いようです。
また、エンジニアがいる会社や外注などによって自社に合ったカスタマイズを行いやすいということも挙げられます。
オープンソースを利用するデメリット
- 基本は自分たちで調べて運用や疑問点を解決する必要性がある
- 品質に対する保証がない
- 日本語ドキュメントが不足している場合が多い
- セキュリティは自分たちで行う必要性がある
逆にオープンソースのデメリットとしては、営業の方がいるわけではないので導入や運用を行なっていく中で、わからないことが出てきた際には自分たちで解決していく必要性があります。有名なオープンソースはwebサイト上に記事の掲載があったり、ユーザーコミュニティが形成されていたりと調べることで解決できることも多いのですが、中には情報量が少ないサービスや日本語でのドキュメントが少ない場合もありますので注意しましょう。
また、オープンソースの中には脆弱性を狙った攻撃が多いものもあり、マーケティングオートメーションは名前やメールアドレスなどの顧客個人情報を保存して運用することもありますので、事前に対策を練った上で導入される方が良いでしょう。
オープンソースは自分たちでカスタマイズも行えるために柔軟性が高い反面、ある程度は自力で調べて設定や運用を行う必要性もあるため、費用以外の導入コストや運用コストがかかる場合があることも頭に入れておいた方が良さそうです。
Mauticは中小企業や技術力の高い企業がオススメ
Mauticについてご紹介させていただきましたがオープンソースの特性上、コストを抑えつつカスタマイズ自由度も高いため、まずはマーケティングオートメーションを試してみたい中小企業やエンジニアが開発することができる技術力の高い会社で重宝されるのではないでしょうか。
逆にあまり開発に自信がない企業の場合には、設定や運用を自社で行わないといけないことから有料のサービスを使った方がトータルコストと費用対効果が高いとも言えるのではないでしょうか。オープンソースはサービスにかかる費用は非常に低いものの、情報収集やカスタマイズといった人的コストは発生するため、外注してしまうと結局有料サービスの方がコストが抑えられるという場合も出てきそうです。
また、BtoCでマーケティングオートメーションを利用したい場合には、メールの効果が薄れてきていることからLINEやSMSなど配信チャネルが多いサービスを検討するのも良いでしょう。
参考:LINEでもカゴ落ちなどのone to oneマーケティングが可能に!
マーケティングオートメーションの導入と運用をうまく進めるためには「導入目的」と「何を行いたいか」を明確にしておく必要があります。
参考:マーケティングオートメーション 導入で良くある間違いと 失敗 理由6つについて
オープンソースのマーケティングオートメーションということでこれからも注目される可能性が高いMauticですので、今後の活用事例やアップデートなどありましたら随時情報更新を行なっていきたいと思います。